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音楽の魅力

 

 姉ちゃん達に、連続殺人犯人の良心が動けなかった話をする。

 そしてセイレーンはここに魔法をかけて、魔物達を追撃できなかったのではと、俺の推測を付け加えた。


 すると、バラードの歌い手であるヴァール姉ちゃんが異論を唱えてくる。


『それだとトルムル、セイレーンが歌っていたのが説明がつかないわ。

 良心を動けなくしてしまうのは正解だとしても、それだけではない気がするの。


 セイレーンが大量の魔法力マジックパワーを使ってまで歌を人々に届けていたのは、何かしらの意味があると思うのよ。


 それに、良心を縛られた連続殺人犯は動けていた。

 良心だけでなく、歌も関係がある気がするの。


 お母さんが言っていた事だけれど、泣いている赤ちゃんにお母さんの心臓の音を聞かせると泣きむ事が多いと。


 心臓は単調なリズムの繰り返しだけれど、立派な音楽。

 心臓と同じリズムの歌を人は聞くと、心が穏やかになって安心する。


 極端に早かったり遅かったら、人は不快に思い始めるの。

 でも、その時の感情とリズムが合えば心地よいものに変わるわ。


 速いダンスのリズムだと身体を活発に動かしたくなっていき、ゆっくりなリズムだとロマンチックになって、お互いの身体が近付いていくわ。

 音楽は人の心を変化させる事が出来るので、そこにカギがある気がする』


 ……。

 音楽は盲点だったよ。


 ヴァール姉ちゃんの言う通り、セイレーンは歌を歌っていた。

 それも、姉ちゃんと引けをとらないぐらい素晴らしい歌を。


 ヴァール姉ちゃんと同じレベルの歌い手でないと、歌を実験には使う事が出来ない……。

 該当する人がいたとしても、あの地下で歌う事は無理だよな。


 繊細な声を発生させなければいけないのに、あの異様な地下での環境ではレベルの高い歌が歌えないだろう。

 前の世界では、簡単に録音と再生できたのに……。


 ん、……?


 今、俺……、重要な事を思ったよな。

 前の世界では録音と再生が簡単にできたということは、魔石を使って同じ様に出来る気がする。


 父ちゃんは絵を動かす方法を俺に教えてくれたけれど、同じ要領で録音と再生ができるはずだ!

 父ちゃんは岩蜂ストーンビィーの魔石に魔法を付与して、パンティーに描いた絵を動かしていた。

 すると、音楽も岩蜂ストーンビィーの魔石で大丈夫。


 魔石を強化するイメージを一緒に付与すれば、長い音楽でも魔石に入る気がする。

 ヴァール姉ちゃんに歌ってもらって、魔石に録音。


 それを実験で再生して使う。

 決まりだ〜〜!


 さっそく俺のアイデアをみんなに言う。

 ヴァール姉ちゃんが超〜〜早口で、興奮しながら俺に聞き返してくる。


『トルムルは私が歌った歌を、魔石に入れる事ができるって確かに言ったわよね……?

 もしできたら、とても素晴らしい事だわ。


 世界中の人が、気楽に音楽を聞くことができる。

 それも僅かな魔法力マジックパワーで!


 子供だって聞くことができるし、戦場の兵士達に音楽を届けて心の安らぎを与える事もできるわ。

 それに……、私は妊娠しているから戦場に行けないけれど、私の歌を届けることができる。


 こんなにステキな事はないわよトルムル!

 私はいつでも歌えるけれど、トルムルの準備は出来ているの?」


 エイル姉ちゃん以上の早口で、ヴァール姉ちゃんは言い終えた……。

 エイル姉ちゃん以上の早口を話す人が、この世にいたのは驚きだ!


 え〜〜と……。

 そっちではなくて……。


 姉ちゃんの期待度が、半端なく高いんですけれど……。

 それに準備って……、まだ魔石に魔法を付与してないし……。


『すこしまってください、ヴァールねえさん。

 これからませきに、まほうをふよしますから』


『そうだったわね、ごめんなさいトルムル。

 私って……、思わず興奮したみたい……


 画期的な大発見をトルムルがしたから、色々な可能性を考えてしまって……』


 姉ちゃんの心情が分かる気がする。

 妊娠して戦場に行けなくなったのを少し悔いていたからな。


 俺はさっそく岩蜂ストーンビィーに魔法を付与する準備を始める。

 付与師の端くれである俺は、皮のカバンに中には魔石が入っており、岩蜂ストーンビィーの魔石もあるので重力魔法で取り寄せた。


 食後の後、隅で寛いでいたアンナの胸をチラッと見た。

 アトラ姉ちゃんの胸を思い出すよりも、鍛えられた魔法剣士の胸を直接見た方が、魔石を強化するイメージがしやすいからだ。


 イヤラシイ目線だと感じたのか……、アンナは俺の方を振り向いてジロッと見る。


 オット……。

 そういう意味で見ていたのではないので、生え終わった奥歯4本が見えるように、12本の乳歯と綺麗な色のハグキを見せて俺は微笑んだ。


 ニィ〜〜〜〜〜〜。


 アンナはそれを見て安心したのか、俺に微笑み返してくれる。

 これからは……、気をつけて見ないとな……。


 イメージが完了したので岩蜂ストーンビィーの魔石に魔法を付与する。


 シュゥーーーーーー。


 小さな音と共に、魔石に魔法が付与された。

 俺は検査魔法を使って確かめると、思っていた通りの魔法が付与されていたので安心する。


『じゅんびができました、ヴァールねえさん。

 せんきょくは、ねえさんにまかせます』


『先程から考えていたのだけれど、「故郷」を歌うわね』


「故郷」は有名な曲で、この世界では誰もが知っていて思わず口ずさむ程だ。

 故郷を離れて戦っている人達がこの曲を聞くと、涙ぐむ人もいる。


 それ程有名な曲でもあり、この世界の人達の心震わす曲でもある。


「ヴァールねえさん、うたいはじめてください」


 俺がそう言うと、ヴァール姉ちゃんが歌い始める。


『ゴブリン追いしの山、ピラーニャ釣りしの川〜〜』


  誰かがハミングを始め、「故郷」の歌を味わい深いものにしている。

 でも、これだけヴァール姉ちゃんの曲とピッタリ合ったハミングをできる他の姉ちゃんがいたっけ?


 もしかしてヒミン王女か……?

 或いはウール……。


読んでくれてありがとうございます。


先月からブログを始めました。まだ始めて間がないので皆さんに紹介するほど充実したサイトにはなっていません。投稿記事が10を超えたぐらいで皆さんに紹介したいと思います。

と同時に、youtube にも動画をアップし始めました。ブログと連動しています。一部ですが……。


どちらも大変ですが面白いです。


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