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目の端になにかある


「おっまえ何なんだあ? 行き倒れてるのかと思いきやピンピンしてるしよぉ」

「何なんだはこっちの台詞よぉ!」


口の中で散々暴れまくったお陰か、虎は口からペッとわたしの頭を吐き出した。

そして尻尾を軽くタシタシ地面に叩きつけながら、不機嫌そうに軽くグルグル唸って文句を言い始めた。

しかし文句を言いたいのはわたしの方である。


「さっきからわたしを食べようとしてる割には、抵抗すれば食べようとしないし、喋るし! アンタ何なのよ!」

「はあ? 喋って当たり前だろう。それに生きる気がまだあんなら食べたらダメだろう?」

「えええ、わたしの知ってる虎は喋らない~」

「なんだ。お前の知り合いは口がきけなかったか」


いや。近所の動物園の大河君(虎の名前)は吠えるけど喋らなかったよ。

それに夢にケチつけるのもなんであるが、動物が喋るファンシー要素に捕食のオプションはいらなすぎる。

生きる気があれば食べちゃダメ?それなら反対は良いってこと?


「死にかけなら食べていいとかわけわかんない……」

「え~。だって、行き倒れは骨まで喰って始末するか、埋葬しないとアンデットになっちゃうだろ?オレ正式な弔い方なんて知らねえし。食うしかねえじゃん?腹減ってっるし」

「意味わかんない……」


アンデッドってゲームに出てくるアレのこと?

なんなんだろう。動物は喋るわ、モンスターっぽいものもいるみたいだし。夢だけど統一性がないというか。夢だから統一性なんて最初からないの?

いやそれにしても、アンタの本音は絶対最後の方のそれだけでしょ!


「でもなんだろうな~。お前。死ぬ気はなさそうだけど。なんか生きる気力もねえのな~?」

「しょ、初対面で失礼すぎるでしょアンタ!」


言われたことの的確さにドキリとしたが、虎のデリカシーのなさにカッとなる。

だが虎の方はお構いなしで、グゥと鳴ったお腹を器用に前脚で擦りながらえげつないオネダリをしかけてくる。


「なあやっぱ喰っていいか? オレがちゃんとお前の体を喰って、残さずきれいに神の御許に送ってやるからさ。お前ホント旨そうだし、キレイに食べきる自信あっから!」

「いいわけあるかあ!」


自信をもって食べんで良い!

グググとでっかい顔を近づけて迫ってくる虎を手で押しやり頑張って抵抗する。しかし、虎の勢いにか弱い成人女性が叶うわけがない。抵抗虚しく虎に押し倒されて、スンカスンカ匂いを嗅ぎまくられてしまう。


あああ!どうしよっ。このままじゃなし崩しにこの虎に喰われてしまう(物理的に)!


あれ。今まで気づかなかったけど、なんか目の端に画面みたいなのがある。


ナニコレと視線を画面に注視した途端、その気になる画面は待ってましたとばかりに拡大しながら真正面にズズイと飛び出してきた。


それは携帯端末世代にとってはお馴染みの薄い水色の半透明色の背景をしたウィンドウ画面だった。

そしてその画面には懐かしさを覚える文面が表示されていた。


『キツネ は やせい の トラ に くわれかけた!』


んんん。ド〇クエ?

いや、ポケ〇ン……?

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