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かっぷり
「あん? なんだまだ生きてたのか」
今、わたしは夢の中にいるみたいです。
なんで夢だとわかるかというと。
「ちぇー。死んでたら心置きなく喰えたのに」
虎が、目の前で人語を喋ってるから。
「まあ最近目ぼしい大物も見かけないし。コイツで妥協しても良いよな?」
「じゃ、気を取り直して……」
アング
「ちょっと待っってぇぇええ!」
「ふぉぐ(あん)?」
顔全体が暗くてぬっちょり生暖かいものに包まれている。
そりゃそうだ。わたしの顔は今、虎の口腔の中にすっぽり収まっているからだ!
「あああ! 口動かさないで! 舌が、舌がサリサリグネグネ動くっ。歯が……牙が当たるぅぅうう!」
「ふぉい。ほあくさにひえひっはんは(おい。ドサクサに髭引っ張んな)」
状況が良くわからなくてボンヤリしていたら、あっという間に虎に頭から齧り付かれた。
無我夢中で虎の口周りを引っ張るが、皮が伸びるだけで全然ビクともしない。
喉の奥から生臭い息が頭に浴びせられる。
ひええ!虎のノドチンコが頭の天辺に当たってるぅうう!あれ?ノドチンコって人間にしかついてない器官じゃなかった?
なんなのよこの夢ぇぇええ!