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目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんてお断りです!!  作者: おいしいクルミ
第2部 エレナ・少女期~旅をしよう!~
35/50

31:気になる会話

「報告に行くぞー。」


ライアン君をおいかけて椅子を立つ。


部屋を出たところに通りかかったギルド職員さんにギルマスの居場所を聞くと、3つ奥の部屋だといわれた。


しかし、3番目の部屋など存在しない。

奥には2つしか扉はないのだ。


伝え間違いかもしれない、と1つ目の部屋に入ってみるが、やはりそこに姿はない。


もう一つ奥の部屋にも行ってみるが、やはりいない。


んー、どうしたんだろ。


「一回受付行ってみよーぜ。」


「うん、そうだね。――――――あ、ちょっと待って!」


「ん?なんだ?」


「声、声が聞こえるの!――――静かにしてて。」


出ていこうとした時、壁の方から声が聞こえた。


思わず耳を澄ます。



『―――――――――確実に仕留めよ。我々の計画に支障が出る。失敗は許されない、5年も猶予があるとはいうものの、2年以内が望ましいだろう。』


『了解した。必ずや。』


『178も派遣したのだ、失敗したら即あれになってもらう。』


『わ、わかっている。対象はまとめた。動きやすいようにはなるだろう。』


『そうか。2”セサンカ・B・レ・3チネ・7・ルバオーット”』


『新しいところか?』


『言わせるな、当たり前だ。使うことはないだろうが、念のためだ。』


『そうか、了解した。人が来るだろう、またこちらから。』


『いや、必要ない。』



そこで会話は終わった。


「――――――なぁ、声なんて聞こえねーけど?」


「へ?いや、でも……?」


「空耳じゃねーの?」


「そう、かな?」


「とりあえず受付いこーぜ。」


歩き始めたライアン君にあわててついていきながら考える。


聞こえなかった?

確かに音量は大きくはなかったけど、静かに耳を澄まして聞こえない大きさではない。


それに、声の主の一人。

その声は、私が知っている人の声。


それは――――――


「おわったのか、なのじゃ?」


―――――ほかでもない、ギルドマスターの声である。


「あ、どこにいたんだ?」


「ちょっとよばれたのじゃ。で、どうするのじゃ?」


「結局、パーティー組むことにした。」


「そうか!よろこばしいのじゃ!さっそくとうろくを――――――あ、えれなのさいとうろくがまだだったのじゃ。あした、またきてほしいのじゃ。」


「わかった。昼過ぎ頃くる。」


「またなのじゃ!」


いつもの明るい、子供っぽい声、独特なしゃべり方ではなかったが、あの声はギルマス。

さっきまでしゃべっていた人の声をきき間違えるはずはない。


話の内容は、ギルドマスターより偉い人とかとの報告連絡だと思えば、一応は、納得はできる。


しかし、気になる点がいくつか。


一つ目は、派遣したもののことを178と番号で呼んでいたこと。

派遣、というからには、人だと思う。なのに、番号。


二つ目は、2”セサンカ・B・レ・3チネ・7・ルバオーット”という言葉。

”新しいところか?” ”使うことはないだろうが、念のためだ。” という会話から、場所である、という想像ができる。

でも、こんな長い地名、この世界にはないと思う。国、領地、町名、これらを合わせれば長くはなるだろうけど、一つでこんなに長くはない。わかりやすさが好まれているのだ。

じゃあ、暗号か何か?

でも、なんで暗号にする必要があるのか?

ギルドでは共通の暗号とかあるのだろうか?


三つ目は、ギルマスが歩いている私たちの後ろから声をかけてきたこと。

あの後ろにあったのは、私たちが話していた部屋と、会話が聞こえた部屋、誰もいなかった部屋、のみだ。

ぎるますはどこから来たのか?

あの声が本当にギルマスであっていたら、わざわざ姿を消していたか、本当に3つ面お部屋があって、扉が消えていたかのどちらかである。

まるで、心霊現象のようではないか。


あと、なぜギルマスは、しゃべり方を変えているのだろう。

会話で聞いたしゃべり方、声、あの方がギルドマスターっぽいし、仕事ができそうに感じるから、わざわざ変える必要性が思いつかない。

いつものでは、仕事ができない頼りない子供なギルドマスターである。


あと、もう一つ――――――――――――


あ、ギルド女職員Bさんだ。


「あの、お名前を教えてもらってもいいですか?」


「え?わたしのですか?」


「はい、そうです!」


「え、ええっと、あ、イナハ、です。」


「そうですか、ありがとうございます!」


イナハ、か。

178、って思っちゃうのは、あの会話に影響されすぎなのかな?


わたしの考えでは、あのギルド女職員Bさん――――イナハさんは、たぶんここに来てから日が浅い。

他の職員さんたちは、受付対応以外ではけっこうおしゃべりしてるし、『〇〇ちゃん、これお願い∼。』とか、『〇〇ちゃん後で一緒にお昼食べよ~。』とかよく聞こえて、みんな仲良しな友達、みたいな感じだ。

でも、イナハさんは、そんな風に誰かと話している様子はないし、営業スマイル以外は出していない。



「あ!ギルド女職員Aさん!」


「へ??私のこと!?」


「あ……。えっと、すみません、心の中でそう呼んでて……。な、名前はなんですか?」


「幽霊ちゃん、名づけセンスがないわ!私は、ピアナ。」


「ゆ、幽霊ちゃんではないです!生きているといっているではないですか!」


「あはは。幽霊ちゃん、面白いねー。」


「最近、面白いってよく聞くんですけど、そんなことないと思います!」


「んー?そーかな?ふふ、まあ、気にしなければいいんじゃない?」


「むー。あ、そういえば、今日はギルドマスターのお部屋に一緒に来るの、ギルド女職員Aさんではなかったのですね。」


「ピアナ、ね。ずっとそうだったんだけど、最近あの子が来てからはあの子ばっかりなのよねー。ま、仕事が減って嬉しい限りだけどね。」


「そうなのですか。それでは、ギルド女職員Aさん、さようなら。」


「ピアナ、よ。またね、幽霊ちゃん。」



んー、やっぱり、イナハさん、最近来たんだね。

178、なのかな?




「なー、おまえ、さっきからどうしたの?」


「……、え?あ、ん?」


「なんか、ずっと考え事してるし、急に職員に名前聞き出すし。」


「あー、ちょっと。後で話すね。」


「そ。あ、じゃあさ、一回俺の家に戻っていいか?」


「いいけど、どうしたの?」


「親父に、今日のこと話したいし、お前と行くんだから、紹介する。いいか?」


「そっか、そうだよね。うん、いいよ。」


「お前は親に言わなくていいの?」


「あー、うん。もう出発してるでしょ?」


「そっか。」


ライアン君には、悪魔素だとか、私が追ってる女のこととか言った方がいいかな?

パーティー組むときあれだけいろいろ言っといて、結局秘密、はないよね。

それに、どうせ巻き込まれちゃう、私と一緒に行動するなら。


あ、精霊とかって他の人に言っていいのかな?

”精霊界は、人間界から結界で守られたところにあって、見ることも触ることもできないし、お伽話とされてほとんどの人が存在を知らない。それは、昔にいろいろトラブルがあってのこと” だったよね?

教えていいのかなぁ?


ソフィアナさんに聞きたいけど、どうやったら知らせられるのかな?

一回精霊界に行くべきかな?

でも、時間、かかるよね……。


行って戻って、って魔道具だから時間かからない?

んー……。



一回行くか。


転移の魔道具もらったし、ここの登録しちゃおう。


あ!ライアン君のおうちに登録すれば、どこにいても帰ってこれる!

そうすれば、ライアン君のおうちの人も安心だと思う。


「ライアン君、一回、一瞬で戻ってくるけど、出かけてもいい?」


「いま?」


「いま。」


「一瞬で戻ってくるとか無理じゃ?」


「一瞬は無理だけど、5分以内にはかえってくる。」


「どこいくの?」


「あとで教える、でいい?」


「ん?まあ、いいけど。」


話したりしているうちに、あっという間にホイット商会まで戻ってきた。


「じゃあ、行ってくるね!」


「ここまで来てよかったの?」


「?どこでもかわんないよ?」


マジックバックから転移魔道具を取出す。


ソフィアナさん、出て行ってすぐに帰ってきたら驚くかな?


「ま、まどうぐ!?」


「?そうだよ?」


さっさと聞いてこよう。


魔道具に魔力を流すと、目の前の空間がゆがんで、次の瞬間には、朝ソフィアナさんと別れた部屋にいた。



「へ?エ、エレナちゃ、ん?」


「ただいまもどりました……。」


「はやくない!?」


「色々あって……。実は、今日あの後、――――――――」


ソフィアナさんに簡単に今日のことを話す。


「だから、その男の子、ライアン君にここでのこと話しちゃって大丈夫ですか?」


「うーん、そうねぇ……。ちょっと待って、今、その男の子のことみてみる。」


「?」


「――――――害意はなさそう。というか……。うん、きっとあの子なら大丈夫よ。それに、あの子は、エレナちゃんの魔力ほどではないけど、人間としては最高レベルの物理系攻撃の素質を持ってる。仲間であったら、きっと心強いこともあると思うわよ。」


「そうなんですね。ほんとうにすごいんだ。」


「待たせてるのなら早く戻ったら?」


「あ、そうでした!それでは、また!」


「まったく、もうちょっと落ち着いて戻ってきて頂戴よ。」


「次は二人できますね!」


「あなたが、仲間と思った人には、仲間になったら言っても大丈夫。ただ、くれぐれも話す人は考えて。」


「わかりました。しっかり見極めはします。」


「そうしてね。じゃあ、いきなさいな。」


「はい、行ってきます!」


「あ、そういえば、魔道具の登録はむこうでしたの?」


「え?……あ、そういえば。」


「はぁ……。まったく、何やってるのよ。頭はいいのに、なんかいっつも抜けてるし、危なっかしいし。」


「……。ご、ごめんなさい。」


「送ってあげるから、次は気をつけなさいよ?」


「はい……。」


「じゃあ、ここに魔力流して。」


ソフィアナさんの作った魔法陣に魔力を流すと、さっきと同じように空間の歪みを感じた。


「気をつけなさいよー。」


「あ、ありがとうございました!」



あっという間にさっきと同じ場所に戻ってきた。

ライアン君は律儀にも同じ場所で待っていてくれている。


「ただいま!」


「お、おかえり?」


「どうしたの?」


なんか、間抜けな顔してる。

そして、なぜ疑問形?


「いや、だって、そりゃ、は?」


「いや、こっちが、は?、だよ?」


「お前、どっかの貴族なのか?」


「え、ええぇ!?私が!?なんで!?」


「魔道具、それも転移の魔道具とかもってんの、この国では貴族だけだと思うぜ?」


「え、そうなの?」


「しらねーの!?お前、常識って習ってない?」


「失礼な!……でも、確かにそのあたりわかんないかも……。」


「どんな生活してきたんだよ……。」


「そ、そのあたりは、いろいろ話が終わったら話すよ。」


「そうか。じゃ、いくか。」


「うん。」



ライアン君のお父さんにあいに、さっき出たばかりのホイット商会の中に入った。





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