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目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんてお断りです!!  作者: おいしいクルミ
第2部 エレナ・少女期~旅をしよう!~
34/50

30:突拍子もない提案

「おぬし、2ねんかんなにしておったのじゃ!せっかくCらんくすたーとだったのになにしておるのじゃ!」


うぅ……。

いや、あのですね、突然、自分でもわけわからぬまま精霊界に行っちゃってですね、時間感覚が失われてですね、2年たってるなんて全然思わなかったんです!

そもそも、私は普通にFランクからでよかったんです!


「まあ、ぎるどがわがとやかく いえることではないのじゃがな……。」


「ごめんなさい……。」


「さいとうろくはするのじゃろう?」


「はい。そのつもりでここに来ました。」


「いまのじつりょくは、どんなかんじなのじゃ?」


「えっと?」


「すこしけんりょくがあがったのじゃ。じつりょくしだいではこんどはBらんくにすることがかのうなのじゃ。」


「いえ、Fからのやりなおしでかまいません!!」


「む?なぜじゃ?―――――あ、おぬし、まえもらんくあっぷしたがらなかったんだったのう。しかし!こんかいはめいわくしょうとしてらんくあっぷさせろなのじゃ!」


ええぇ!?

迷惑料がランクアップって聞いたことないよ!

それ、だいたいの人が喜んじゃうよ!?


「で、ですけど、実力が上がっているかどうかはわから「わかるのじゃ!」


なんですと!?


「なんというか、おーらじゃ、おーらがちがうのじゃ!とっくんしたもののおーらなのじゃ!」


おう、ぴったり正解だよ……。


「いや、でも……。」


「でも、も、だって、もないのじゃ!もんくはなしなのじゃ!うけつけしゅうりょうなのじゃ!」


ん、このセリフどこかで……。

――――――あ、ソフィアナさんだ。『文句はなしです!受付終了です!』っていってたよ。


この二人、なんか雰囲気似てるとこあったりするし、会ったら案外仲良くなるかもしれないなぁ。


「じつりょくそくていするのじゃ!そとにいくぞ!」


わたし、こういうかんじの人には勝てないなぁ……。

ソフィアナさんにも勝てないし。



「そうじゃ、らいあんとはともだちなのか?」


ど、どうなんだろう?

友達にはなりたいし、生まれてから家族以外の人間で一番親しくなれたとは思うけど、ライアン君とは今日あったばっかりだし、知り合いってところかな?

いつかは友達になりたいな!


目指せ、友達100人!!まずははじめの一歩から!


「で、どうなのじゃ?」


「知り合い、ですかね?さっき知り合ったばかりなのです。いつかは友達になれたら、とは思いますが。」


「ふむ、そうか。」


ギルマスさんは、そういうと考え込んでしまった。

この人と会ってから初めてこんな真面目な顔を見た気がする。

どうしたんだろ。


私の友人の少なさに悩んだ、とか?


いや、この人は私のこと、あんまり知らなかったんだった。それはないな。


「のう、ちょっとらいあんをよんできてくれぬか?」


「へ?ライアン君を、ですか?」


「ちょっとはなしがあるのじゃ。」


実力測定はどうなったのだろう。

まあ、いいけど。



「ライアン君、ギルドマスターが呼んでるよ。」


「ん?おれを?」


「うん。ちょっとはなしがあるんだって。」


ライアン君は、受付のところにある椅子に座って、ほかの冒険者さんたちと話していた。


ライアン君とギルマスルームに向かう。


「じゃあ、私は受付のところにいるね?」


「え?あ、ああ。」


ライアン君は、何か考え事をしていたのか、上の空で、こんな状態であの無駄に元気なぎるますと会話ができるのか心配になってくる。


ライアン君を見送って受付に向かおうとすると、


「えれな!おぬしもきくのじゃ!にげるでない、なのじゃ!」


というギルマスの声が聞こえてきた。


え?わたしもきくの!?


ライアン君との話なのに?


不思議に思いつつ急ぎ足でギルマスルームに戻る。


「さて、ふたりにていあんなのじゃ。」


「ライアン君じゃなくて、私たちに、なのですか?」


「そうじゃ!ふたりにはぱーてぃーをくんでほしいのじゃ!」


「え!?なんで!?」

「やっぱり!」


「え?ライアン君、やっぱり、ってどういうこと?」


「あー、えっと、勘?」


「よそうできてたの!?このハチャメチャギルドマスターの言うこと!すごい!」


このギルマスの思考をよむのはずいぶん大変だ。

なんか、思っているのの斜め上に来るかんじで、受け止めるだけでせいいっぱいになってしまう。

人間関係をつくるのに苦戦している私には超絶難問なので、素直に尊敬できる。


「なんだかわるぐちをいわれたようなきがしなくもないが、ほんだいなのじゃ。」


「えれなはまほうがすごいのじゃ。らいあんはぶつりこうげきがすごいのじゃ。ふたりあわせるとさいきょうなのじゃ。」


ふむふむ。


……わからない!!


「えっと?」


「ギルドマスターは、お二人にパーティーを組んでもらって、最強パーティーとなり、ギルドの名の向上と、何よりお二人がギルドから離れないように、とお考えです。」


ギルド女職員Bさん、通訳ありがとう!


んー、そっか。

わたしは確かに、客観的にみて魔法は強い。

実際の魔力の値とかどうなってるかは知られてなくとも、まえの決闘とかでやらかしっちゃってるからね……。

この年齢であの魔法。ギルドとしては捕まえておきたいということだろう。それは分かる。

さらに、何も言わずに2年消えた、っていう前科持ち。

うん、一人だったらまた消える、って思われてるのかも。


ライアン君はどんな強さなのかわからないけど、ギルマスの口ぶりと助けてくれた時の異常なくらいの足の速さから考えるに、物理系の攻撃においてはギルドの中でも力のある方なのだろう。


そんな私たちをまとめることで、ギルドのイメージアップと、優秀な人材の囲い込みをする、ということか。

二人いっぺんに神隠しには合わないだろうしね……。


純粋にパーティーを組んで仲良く誰かと活動する、ということにはあこがれていた。

しかし、今の私では、気軽に誘うことはできないだろう。


常に”悪魔素”関連の調査と、私に声をかけてきたやつらの目的調査をしていなくてはいけないし、そのためにいろんなところに行ってみるつもりでいる。

さらに、精霊界という、ここではしられていないようなところにもいくのだ。

今の私には、危険と秘密が多すぎる。


「すこしふたりではなしあうのじゃ。けつろんがでたらよびにくるのじゃ。」


そういってぎるますと有能通訳ギルド女職員Bさんは部屋から出て行った。


「なあ、おまえはどう思う?おれはおまえなら別にいいぞ?」


「わ、私は……む、むりです。」


一緒にやりたかったな、っていう気持ちにはふたをして、今は世界平和を。


「なんで?今日あったばっかりだからか?」


「いや、っていうわけではないです!それは決してありません!ですが、これは話が違うのです……。私は、諸事情によりいろいろなところを回らなくてはなりません。それは危険だし、何があるかわかりません。今の私は、大きな爆弾を抱えているようなものなのです!ライアン君は、トップの商会の息子さんですから、いろんなところに連れまわしたり、命に関わるかもしれない問題に首を突っ込むべきでゃないと思うんです。」


「ふぅん。おれ、そんなに弱くないぜ?ていうか、おまえ、俺の命に関わるような大事、一人で対処できるわけ?あんな危なっかしくてだいじょうぶなの?それで大丈夫っていうんなら大したことないよね?それとさ、おれ、ホイット商会の息子だけど、後継ぎでもないし、たいして経営方面に優秀ってわけでもないから商人にはならないし、下級貴族には俺が婿入りするとこは今のとこないから、基本自由。将来は冒険者で食べていくつもりで家の許可もとってギルドに所属してんの。」


あ、言い方がまずかったのかな……。

ライアン君を馬鹿にしたつもりは全くない。

そもそも何もなければパーティー組んでみたかったとさえ思っている。


「馬鹿にしたつもりは全くないです。言い方が悪かったようで、ごめんなさい……。」


「で、おれじゃ嫌なわけ?」


「さっきも言ったように、いや、っていうわけではないんです。」


「おれは、あの家は成人と同時に出て冒険者としていろんなところを回るつもりだった。それが早まったところでどうってことない。」


そんなことはない。成人は18歳。あと8年。

8年は大きいと思う。


「おれは、お前が何してんのかしらねーけど、怪しいことじゃないんだろ?ならおれもそれ、手伝うぜ?家にいるのは窮屈で仕方ないし、好きにしていいって言われてんだ。おれの好きにしたって文句は言われない。エレナが嫌なわけじゃないなら、パーティー組んでもいいんじゃねーの?」


いいの、かな?

ライアン君、危険な話にわざわざ首を突っ込んで”へいおんライフ”壊さなくたっていいと思うよ?

それに、本当にすべて話した時、やっぱやめた、ってなるのは困る。

口外されるのも、友達候補が0になるのも嫌だ。


「もし、ライアン君が想像しているより危険な内容だったとき、聞いてからやっぱりやめるって言わないですか?」


「ああ、もちろん!世界を旅するのも波乱万丈な人生を送るのもおれの夢だからな。」


「ほんとうに?」


「しつこい!ほんとうだっつってんだろ?」


「じゃ、じゃあ、いっしょにぱーてぃ、くんでください……!」


「きめんのおせーんだよ。最初からそう言えばいいのにさ。」


「うぅ……。」


「はぁ。じゃ、報告に行くぞ。」


「うん。――――――あ、なんでライアン君は私とパーティー組もうと思ってくれたの?あと、怪しいことじゃないってわかったの?」


「ん?ああ、なんかお前おもしれーから退屈しなさそうだなって思ったから。おまえ、自分で思ってるより顔とかに考えてることでてるし、あんな危なっかしいやつが怪しいこととかできねーだろ。」


「ええぇ!?わ、わたし、かおにでやすいの?完璧なポーカーフェイスだと思うよ!?」


「ないな。」


「ふぇぇぇ!?即答!?あと、面白いって何?そんなことしてないよ!?あ!あと、あぶなかっしい、っていうのも聞き捨てならないよ!」


「全部事実だな。」


「えぇぇ!そんなことないとおもうよ!たぶん。あれ?ないよね?あ、あれ……?」


「報告に行くぞー。」


もしかしたら、確かに、まあ、認めたくないけど、危なっかしい、っていうの、あっている気がしなくもないような記憶がちらほら……。


そ、それはまだしも、完璧なポーカーフェイス作ってると思ってたんだけど?

ライアン君が、商人の息子だから、そういう顔とか読むの得意なだけじゃなくて?




こうして、わたしにちょっと意地悪で、でもちょっと面倒見の良い、パーティーメンバーができた。







エレナに初の仲間が!

ライアン君サイドでの話も次回、ちょっと入れます。



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