20:追跡します!②
遅くなりました……
転移した先はトンネルのようになっていた。
片方はふさがっているのでもう一方にしか進めないが、迷わなくていいから安心だ。
しかし、ここで問題が。
めちゃくちゃ気持ち悪い……
前世では乗り物酔いがひどい方だったが、今世では馬車が平気だった。
でもその代わりに魔法での移動がだめだったらしい。
乗り物酔いじゃなくて、転移酔い?
乗り物酔いに効くツボとか押したらなおるかな?
転移酔いに効くかわかんないけど
確か……
内関
(手のひらを上に向けた状態で、手と手首の境目にあるしわの真ん中から指3本分ひじ側へ進んだところ)
外関
(手のひらを下に向けた状態で、手の甲と手首の境目にあるしわの真ん中から指3本分ひじ側へ進んだところにあります。内関のちょうど反対側)
築賓
(足の内側のくるぶしからひざの方へ指5本分進んだところにある)
侠谿
(足の薬指と小指の付け根の間の薬指寄りの凹んだ部分)
翳風
(耳たぶの裏の耳たぶと骨のでっぱったところの間のくぼみ)
だったかな
もみもみしてみる。
⦅……ど、どうしたのだ?⦆
とっても心配された。
……外からみたら急に体をモミモミしだした変な人!?
そういえばこの世界ってツボ押しとかないのかな?
回復魔法とかでちょちょいとできちゃうから医療とか発達していなさそうだよね。
「つぼおしだよ」
⦅?……まあよい。顔色が悪い。我の背に乗れ。少し休むとよい。⦆
ハクの体力温存のためにここまで頑張って歩いてきたので、ここで乗ったら負けた感じで悔しいが(←何にかはわからないけど)結構気持ち悪くなっちゃったので乗せてもらうことにした。
「ありがと。」
⦅よい。気にするな。⦆
ハク、優しい……
ハクは私を乗せると今までの5倍くらいのスピードで走りだした。車くらいの速さだ。
これでも早歩きくらいだというのだから驚きである。
そうしてしばらく進むと、トンネルの終わりが見えてきた。
外に出ると、そこはまたしても森だった。
「ここはさっきの森からどのくらい離れたのかな?」
⦅ふむ……だいたい300kmくらいだな。⦆
けっこう離れてた。だいたい東京から名古屋までくらい。
この辺りの地理は実はよくわかっていないためここがなんという町の近くなのか、とか、何領なのか、とかはわかっていない。
商会の家だったが、しっかりした地図は高級品?とか何とかでお父様の部屋の鍵月戸棚に入っていたから見せてもらえてなかったのだ。
商人の地図は、この世界では商売の相方である。
商売をしていく時、どこで何をいくらで誰にどのくらい売るか、を見極めても受けていかなければならないため、ある意味情報戦である。仕入れも同じだ。
だから商人は、いろいろなところの事情とか秘密情報とか、そういうのを自分で調べて地図にかきこんでいく。
そういう風にして地図の価値が高まっていき、場合によっては次の代に受け継がれたりする。
この傾向は最も旅商人に強く、小・中の商会もあったりする。
現在は地図に書き込まず、魔道具にデータとして記録する方法が主流だが、ディベラント商会では昔ながらの方法で続けていた。
さて、この後はどうしよう。
ハクによると、この場所からはあの女の魔力痕跡が見つけられないらしい。
手当たり次第に探すのは、見つかるのがいつになるか分かったものじゃない。
⦅主殿は探知魔法を使えぬのか?⦆
「私?やったことないよ。それに、ハクの魔法でダメだったのだから私ができても無理なんじゃない?」
⦅わからぬのだ。我は種族特有スキルの探知なのだ。人族の主殿が使うと別の結果になるかもしれぬ。⦆
「そういうこともあるんだ。」
⦅今から練習してみるか?⦆
「いまから?え、えっと、それってどのくらいの時間がかかるの?」
⦅人それぞれ、としか言えぬ……⦆
「そうだよね」
「……うん、やってみる。ハク、教えてくれる?」
⦅うむ、もちろんだ。⦆
「ありがとう。がんばるね。」
⦅では、さっそく―――――⦆
『ちょっと待った――――――!!』
??
だ、だれ?
⦅我の話をさえぎるのは誰だ。⦆
『お、おこらないでよ。ようやくつながったのに……。あ、私の名前はソフィアナよ!』
「ソフィアナさん?えっと、どちらにいらっしゃるのです?」
『精霊界よ。』
「精霊界?」
『そうよ!私、あなたたちにずっと声かけたくってがんばってたの!ようやくつながったと思ったらとてつもなく危ないところにいるじゃない!なにやってるのよ、まったく……。』
よくわからないのだけど、誰かこの状況、説明して!?
『とりあえず、こっちに来て?』
「どうやって行けば―――――――――――」
転移魔法の時のように空間が少し歪んだ感覚があった。
そして、目を開けると丘に立っていて、目の前にとてもきれいな景色が広がっていた。
「いらっしゃい、精霊界へ!」
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