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クロスディメンション  作者: himajin
2/2

歪な相手

 日付をまたいだ1時過ぎ、俺は自分の部屋にいた。


 こんな時間だが今から出かけようと思う。


 出かける準備として服を着替え、荷物の準備をしないといけない。


 まず服に関して、見た目は黒を基調とした普通の高校生の私服といった感じだが、服自体に色々と細工をしてある。


 荷物に関してもそんなに変わったところはない、財布に、スマートフォンにといたって普通である、変わったところがあるとすれば、長方形の十枚の白い紙きれと、石ころ数個といったところだ。


 準備をしている途中に部屋の隅に立てかけてある一本の刀が目に入った。


 ちなみにこの刀は本物で、外に持ち出して警察に持ち物検査などされてしまえば、一発で銃刀法違反になってしまう。


 そんな代物がなぜ16歳の少年の部屋にあるのかというと、その理由は自分の生まれた環境にある。

 少々、というか、かなり特殊な家庭に生まれたのでこういった代物があるのだ。


 刀だけでなく、扱う腕の方も昔から鍛えられてきた。


 そして今夜はもしかしたらその両方を使うかもしれない、毎日修練などは欠かしていないため腕の方に自信はあるが、果たして本当に今夜必要になるのか。


 持っていくとすれば、警察や一般人に見られるわけにはいかない。移動などは誰にも見つからずに済ませないといけなくなってしまう。


 だが、最近の動きからして身の安全を守るには持って行った方がいい。


 せめてもの対策に剣道などで使用される竹刀を入れる袋を使うことにする、そうすればいざというとき多少なりともごまかせるだろう。


 準備ができたので玄関から外に出た、そんなに高さはないが一応マンションの最上階なので扉を開けると周辺地域が見下ろせる形になっている。


 マンションの場所は駅近でその横に商店街もある、今朝ニュースになっていた商店街ではないがあそこでも一回似たような事件があった、それに関してはニュースにはなっていない。


 なぜなら一番最初に見つけたのが俺で、その隠ぺいをしたのも俺だからだ。


 今回も”あいつら”よりかも早く現場を見つけるために急がないといけない。


 だがいつどこで”やつら”が現れるかわからないので、基本的には事件が起きそうなところを見回るしかないのだ。


 マンションの駐車場に行き、自分のバイクにまたがる。


 このバイクは親からの仕送りで買ったものだ、免許代もそうだ。


 16歳の一人暮らしにしてはかなり裕福な暮らしだ、それもこれも月々に送られてくる仕送りのおかしな額のおかげなのだが。


 そんなお金で買ったバイクを乗りまずは近所にある川に行く。


 この川は市と市を挟んで間にある川だ、その川にかかっている一本の長い鉄橋。自分の見立てではここが次の現場になるとにらんでいた。


 ポケットのなかにある、あの白い紙を一枚出す。


 ここが現場になるだけの霊力があるのならこの紙が反応するのだが。二、三分待ってみたが何の反応も示さない。


 ここは外れのようなので次の場所に移動することにした。


 そのあとかなりの場所を回った、デパート・コンビニ・空地・市民センター・パチンコ屋・商店街・公園など。

 

 そして人気のない工事現場で紙は反応した


 紙が赤黒く変色したのだ、最初は紙の中央が、そして一気に紙全体が変色した。


 これはまずい状況だ、紙の色の広がり具合は相手の強さを表す、この反応はかなりつよい。


 昔おやじに教えられた、この紙は識別紙しきべつしと言ううがこの識別紙を超えるものに出会ったら一目散に逃げろと言われた。


 この紙の許容を超える相手は人間が太刀打ちできる領域を超えていると、そう教えられた。


 だから逃げるのが一番の正解であり、対峙しようなどと考えるのは自殺行為なのだ。


 そこまで考えて気づいた。


 まだ工事の途中である現場の奥に黒いフード付きのコートを着た人間が立っていた。


 そのコートの下に来ている制服、いや戦闘服に見覚えがあった。これもまた自分と同じく黒を基調としているが、一年前までその戦闘服を着ていた集団の中に自分はいたのだ。


 つまりここはもう”あいつら”に見つかっているといううことだ。


 だが様子がおかしかった、まずなぜ一人しか周りにいないのか。普通ならこいつらは複数人で行動するはずだ、そうしなければ自体に対処できないどころか、命を落としかねないからだ。


 そしてもう一つはこの異常な反応の識別紙だ。


 この反応をしたのが今さっきならまだ近くに”やつら”はいるはずだ。


 つまりこいつが・・・・


 そこまで思考して相手が動き出した。


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