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ドラゴンと聖女2

「あの頃我は退屈していた。暇で暇で仕方がないので、時々街に降りて人間を騒がせてみたりしてな」


「するとある日、リン、お前たちが聖女と呼ぶ女が突然やって来て、わたしが相手をするから、街に迷惑をかけるのをやめろと言ってきた」


「最初は、たかが人間の女一人、暇つぶしにもならんと思った」


「だが、リンは我を恐れず、話が面白く、何より・・・ブラッシングがうまかった」


「人間の料理というものも、量は少ないが味は良かった」


 つまり、うまく飼い慣らされた、ということか。


「だから、リンの言うことならばまあ、少しは聞いてやろうと思った。街が火事になった時は凍らせて鎮火してやったりもした」


「だがある日、崖崩れが起こり、見に行くとリンが岩の下敷きになっていた。かろうじて意識はあったが、このままではすぐに死んでしまうだろう様子だった」


「我は知っていた。人間の魔法ではこの傷は癒やせない。我にも治癒の魔法は使えない」


「リンは、我に、ごめんなさいと。1人にして、申し訳ないと」


「我は、許せなかった。だから凍らせた。もう話すことができずとも。動く事がなくとも。我を置いて死んでしまうことだけは、許せなかった」


「お前が言ったように、リンはこのなかで生きている。この氷は特別なもの、魔法を解けばリンはまた動き出す。瀕死の状態だがな」


 特別な魔法だったのか、普通に解凍すれば生き返るのかと思っていたので、危ないところだった。


「さあ、わかったらもう帰ってくれ。我はもう街になにかするつもりもない」


「いえ、もともとぼくたちは確認したい事があっただけで、街の話とかはどうでもいいのですが」


 そもそも、いきなり語り始めたのはこの(ドラゴン)だし。

 ただ・・・


「あの、もしリンさんが治療できるとしたら、」


「そんな可能性はない!!」


 吠え声が響く。風圧で体が飛ばされそうになる。


「用が終わったなら、さっさと消え失せろ!!これ以上我を苛つかせると、どうなっても知らんぞ!!」


「思い込みで、可能性を捨てるのですか?」


 わたしは人間の姿に変化する。


「わたしはネコです。でもこのように、人間に変化し、治癒の魔法を学びました」


「人間の魔法ではどうにもならんと言っただろう!!」


「わたしは、人間を超えた魔法が使えます」


「嘘を」


「ほ、本当です!ムツキさんは、失った腕や足を生やすこともできるんです!」


「そ、そうですわ!ネコの中でもありえないほどの才能がありますもの!」


 後ろから、サラとオジョーが精一杯の援護をしてくれる。


「まずはわたしの話を聞いていただけますか。それであなたがダメだと判断すれば、大人しく帰ります」


「・・・わかった。だが、しょうもない話であったら、その時は覚悟しろ」


「ありがとうございます」


 なんとか通じて良かった。話を聞いていくうちに思ったのだ。これは、わたしの蘇生のために必要な過程のひとつではないかと。わたしの体は交通事故にあっていて、蘇生術は命を移すのみ。つまり、蘇生と治療は同時に行う必要があるのではないか。

 言い方は悪いが、聖女様はその練習台になる。

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