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氷漬けの理由

「お前たち、なにをしに来た。ここは我の土地だ、さっさと立ち去れ」


 びりびりと響く低音。オジョーとサラは、ドラゴンに気圧され、声を出すこともできず固まっている。

 わたしは耳としっぽを下げ、できるだけ小さくなりながら目を合わせないようにドラゴンに返事をした。


「失礼致しました、聖女様のお姿を見てどうしても確認したい事がありまして参りました。用は済みましたので、これで失礼させていただきます」


「早くしろ、さもなければ、この女のように、氷漬けにして放り出してやるぞ」


「? 聖女様が氷漬けなのは延命処置ですよね?」


「な、なにを!」

「ムツキ!?」

「ムツキさん!?」


 そこにいる3人(?)がそれぞれ驚きの声を上げるが、わたしにとっては驚かれる事が驚きだ。


「いくらドラゴン様の魔法とはいえ、野ざらしでは普通氷の表面が汚れたりするものだと思いますが、聖女様の氷は一片の曇りもない。まるで、定期的に魔法をかけ直すか、磨かれているかのように。それに、周りは木が生い茂って光も差さないのにここだけは草まできれいに刈られて花も咲き、丁寧に管理されています。そして」


「まだあるのか!!」


「そもそも、ふもとの街ではドラゴン様が聖女様を独り占めしたくて凍らせたと言われていましたよ」


「な、なんだと!?」


「ただ、お腹を押さえているようですし、そのあたりの服の色が少し変わっているように見えます。腹部外傷による命の危機、それを留めるための氷結といったところでしょうか。聖女様の表情も、苦痛はあるようですが怒りや恐怖といったものは感じられませんし、同意があったものかと」


「・・・お前はいったい何者だ」


「ただのしがないネコですが」


「嘘だろう」

「嘘です」

「嘘ですわ」


 心外だ。


「とにかく、以上のことから聖女様とドラゴン様は良好な関係にあり、氷漬けは延命処置である、と判断しました」


「・・・わずかな時間見ただけで、そこまでわかるのか」


 ドラゴンは、その場にゆっくりと腰を下ろすと長くため息をついた。そして、静かに口を開き、話し始めたのだった。

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