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ドラゴンと聖女

 食事と情報収集ができる場所としては、酒場が一番なのだがオジョーやサラを連れて行くのは気が引けるので、定食屋のような場所を教えてもらった。

 食事をとりながら、店の人にドラゴンについて質問するといろいろと教えてくれた。


「向こうのほうに見える山、あそこがフロストドラゴンの棲む山さ。昔はたびたび町に下りてきては悪さをしていたけど、協会にいた聖女様が訪ねていくようになってからは大人しくなって、時には人を手伝うようなことさえあったそうだよ。だけど、ドラゴンは聖女様を独り占めしたくなって、とうとう氷漬けにしてしまったのさ。それからは、一度も町に下りてきたことはないってことだ」


「聖女様は、見た目も心もそれはきれいな方で、金の髪に青空の瞳をもち、どんな生き物にも優しかったんだと。今でも協会に絵が飾ってあるよ」


(金の髪に青空の瞳・・・はずれかな)


 いや、実際見てみればもしかしたらピンとくるかもしれない。


「ドラゴンに会いに行くことはできますか?」


「会いに行くだって!? やめときな、町には降りてこなくなったけど、聖女様以外の人間は近づくことすらできずに凍らされちまうよ」


「どのあたりにいるかだけでも教えてもらえませんか」


「山の頂上だよ。近づけば冷気を感じるからわかると思うが。本当に行く気かい?」


「えぇ、できれば聖女様をこの目で見てみたいので」


「命を懸けるほどのものでもないだろう。そんな小さな子も連れてるってのに」


「わたくしのことなら心配ご無用ですわ」


「ぼ、僕だって。そのために来たんですから」


「まあ、好きにすればいいさ。ただし、ドラゴンを怒らせるようなことはしないでくれよ。とばっちりで町がやられちゃかなわない」


「わかりました、善処します」


 食事を終え、宿に帰ってから今後の方針を話し合う。


「明日は必要なものの買い出しをして、明後日出発にしようか」


「わかりました」


「サラは、念のため防寒具も用意しておいてね」


「ムツキさんたちは?」


「いざとなれば毛皮があるからね」


「なるほど」


「オジョーは、ぼくと一緒に買い出しに行ってもいいし、休んでいてもいいよ」


「なら、わたくしはゆっくりさせていただきますわ」


「了解、じゃあ、今日はもう寝ようか」


「はい、おやすみなさい」


「おやすみなさいですわ」


「おやすみ」


 ちなみに、三人分の料金は支払っているが一部屋にベッドが三つは置けないため、取り合いにならないようオジョーとわたしはねこの姿になって一つのベッドを使うことしていたのだが、夜中に寒かったようでいつの間にかオジョーがサラのベッドにもぐりこんでいたため、翌朝は驚いたサラの声で起こされたのだった。



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