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旅立ち

 嬉しそうに話していただけあって、メジの資料はとても豊富にあった。図書館の本を書き写したものや、吟遊詩人の歌を記録したものもあって、合わせるとかなり詳細な情報になった。

 それによると、現在地から一番近い場所はドラゴンに凍らされた聖女がいるという隣の国との境の山のようだった。


「やっぱり近場から攻めるのが定石ですかねぇ」


「えっ? もしかしてほんとに行くつもりか?」


「ん? あぁ、行かないとどうしようもないので」

(繋がりを見つけないと)


「え~、じゃあおれも! おれも行く!」


「いや、危ないですし。それに学校もあるでしょう」


「危ないって、それはお前も同じだろ」


「いや、わたしは」

(変化でなんとでもなるし、なんならネコのほうが移動も速い・・・)


「ムツキさんにはわたくしが付いていますから問題ありませんわ!」


「だれだ!?」


「あ、オジョー」


「このわたくしがいれば、ムツキさんに危ないことなんてありませんわ」


 声のほうを見ると、自信満々に胸をそらして立つオジョー。


「あ、ぼ、僕も一緒に」


 その隣には、肩をすくめてサラが。


「ずるいぞ! やっぱりおれも!」


「メジはだめです。そもそも親御さんの許可が下りないでしょう」


「そ、そうですよ! メジ君はまだ小さいですし」


「な、おれは小さくない! だいたいこいつだって同い年くらいだろ」


「いや、ムツキさんは」


「サラ」


「あ、すいません」


「え?」


「なんでもないです。とにかくメジはだめです。少なくとも自分のことが自分でできるようになるまでは」


「はぁ!? おれは自分のことぐらい」


「料理、洗濯、食器洗いとか、全部ひとりでできますか?」


「そ、それは」


「近場と言っても日帰りできるような距離じゃありません。自分の世話ができなければ困りますよ」


「わ、わかったよ! そのかわり、おれが全部できるようになったら絶対一緒に行くからな!」


「・・・そうですね。それはまたおいおい考えましょう」


 こうしてなんとかメジについてくることを断念させ、準備を整え、どさくさにまぎれ同行することになったオジョーとサラとともに街を出立したのだった。

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