蘇生魔法
帰ってからも落ち着かない気持ちのまま、持って帰ってきた蘇生魔法の本を読んでみて
「なるほど」
オーグの歯切れの悪さの意味がわかった。
蘇生魔法は、正確に言うと“蘇生”ではなく、“寿命の移し替え”だった。完全に死んでしまった身体には、命も魔力もない。そこに、ほかの身体から寿命を移して生き返らせる。
当然もとの身体の寿命は減る。もともとの寿命が延びるわけではないので、余った分は残ることになるが。
例えば、40歳くらいの人間を生き返らせるとして。平均寿命を70歳とすれば極端な話、0歳の赤ん坊から移せばその子は寿命は40年残り、60歳の人ならその人はそのまま寿命が尽きてしまい、生き返った人は50歳までの命ということ。つまり
「生贄、か」
もちろん本当の寿命なんてものはわからないが、元の寿命に戻そうと思えば自分と同年代以下の人の寿命を奪う必要があるだろうということ。そんなことできるわけがない。
(しかし、あの“ですね”は『不可能ではないようにしておく』と言っていた。今までに関わった人から生贄を探せと? いや、人? そもそも人である必要があるのだろうか?)
本を読み返してみてもその記述は見当たらない。まぁ、ほかの生き物であっても命を奪うことに変わりはないし人間ほど長生きするものなんてそうそう・・・。
「ネコ?」
ネコには9つの魂がある。そして、ケガなどがなければ1つにつき10年は生きられる。そうだとすれば自分がネコとして転生させられた意味もわかる。
「自分の寿命を、“自分”に移す」
『正解ですね』
そのとき突然、背後から、忘れようにも忘れられないあの声がした。




