ムツキの想い
「メジは、わたしに好意を持っていると思いませんか?」
「え?」
「まだ本人もはっきりとは自覚していないかもしれませんが、恋愛感情に発展しそうな気配を感じませんか?」
「そ、そうですね。さっきの様子はその、嫉妬、みたいな?」
「以前にも言いましたが、わたしはいずれ元の世界に戻るつもりです。どういった形になるかはわかりませんが、そのときわたしはこの世界からいなくなることだけは確実です。だから困るんですよ。わたしに特別な感情を持っている相手がいると」
「だから、わざとさっきみたいな態度を?」
「サラだって、自分の魔法がばれたら困るでしょう?」
「でも、あれはちょっときついですよ。僕、説明してきます!」
「では、あなたの姿は幻覚の魔法、ということにしておいてください。それをわたしに見せていたと」
「っ! わかりました!」
強張っていた顔をゆるめて、サラはメジを追いかけ走り出した。大人対子供の足だ。すぐに追いつくだろう。
「好かれすぎないというのも難しいものだなぁ」
(やはり、この見た目のせいだろうか。でも、気に入ってるしなぁ)
別に人に嫌われたいわけではない。ある程度の好意は、人間関係の潤滑剤として必要だ。メジのように知識を教えあえる友人は貴重であることもわかっている。それでもやはり、できるだけ未練の残らないようにしていきたいと思うのだ。




