保健の授業~解剖学的観点から~
あれからさらに日がたち、サラが発生学についての知識を得たと判断したわたしは
「さてと、じゃあ、いよいよ解剖学に入ろうか」
解剖の授業を始めようとしていた。
ちなみに、口調に関しては夫の姿をしているときはそちらに合わせている。サラも、
「そのほうが、よりムツキさんと別人って感じがして僕もありがたいです」
とのことだった。
「発生学の最終でやった人間の基本的構造は覚えているね?」
「はい」
「じゃあ、成熟した人間の生殖器がどういう構造で、どういう流れで繁殖が行われるかを説明していくよ。ちょっと複雑だし、実際目に見えないところもあるから難しいかもしれないけどがんばってね」
「よ、よろしくお願いします」
「図を描いてきたからこれを見ながら勉強しようか」
「は、はい・・・」
「ここが精巣、で、割面がこう。精子はここで作られて、こういう流れで・・・」
より具体的な話になってきたので、サラが耐えられるか心配だったが、図をできるだけ正確に書いておいたおかげか、少し青ざめて見えるほどしっかりと集中して聞いてくれているようだった。
(これなら、大丈夫そうかな)
そう思っていると
「ム、ムツキさんすみません。ちょっと休憩させてもらってもいいですか?」
「構わないけど、どうしたの?まだそんなに時間はたってないけど」
「ちょっと、この絵がリアルすぎて、その、想像してしまって」
「? 想像できるほうがいいんじゃないの?」
「いえ、あの、自分のが切られているような」
「え!? そうなのか・・・。どうしよう、描き直したほうがいいかな? でも、あまり簡略化してしまうと正確性に欠けてしまうし」
「あ、だ、大丈夫です。すぐになれると思います、たぶん・・・」
「そうかい? じゃあ、ちょっとゆっくりやろうか。きつくなったら言ってくれればいいから」
「すみません、ありがとうございます」
(そうか、これが一般の人の反応なのか)
反省したわたしは、それからは、サラの様子を見つつ授業をすすめていくようにした。




