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ネコの恨みは海より深く

 わたしが集会所に着いたときには、彼女はすでに地面に固定され身動きが取れないようになっていた。

 口もふさがれ、魔法も使えないようにされている。


「さて、どうしようかしら。思ったより簡単に捕まってしまったわけだけれど。まだ抵抗の意思があるかもしれないし、やっぱりある程度痛めつけてから話を・・・」


 ミルクさんが一段高いところから睥睨しながら言う声を聞き、動けないものの目を覚ましてはいた彼女がガクガクしだしたのを見て、わたしは少し助け舟を出してあげることにする。


「この状態であれば安全ですし、まずはこのままできる質問をしてみてはどうですか? それで反抗的な態度を取るようであればそのときに・・・」

「そうね、そうしましょう。あなたもそれでいいわよね?」


 形だけの確認だったが、ブンブンと音がしそうなほど何度も頷く様子に満足した様子のミルクさん。


「ではまず最初に、あなたに伝えておくことがあります。心して聞くように。あなたはネコが恨まないと感じていたようだけど、それは間違いよ。ネコはね、故意に自分たちを傷つけたものを忘れない。人間すべてを敵視するということはあまりないけど、相手が特定されていれば。特に、殺されたとあっては、傷つけたもの、その血縁、末代になるまで恨んで、呪って、必ず後悔させる」


 下から見上げるミルクさんの目は、本当に冷たく。


「だけど、もしそれが悪意ない、事故なのであれば。そこまでのことはしない。せいぜいその場で報復するくらいで済ませてあげる。だって、それはもう仕方ないもの。それは、人の近くで生きていくと決めた時点で覚悟しなければならないものでしょう」


 父親のことを思い出しているのか、少し寂しげに見えた。


「それで、あなたはネコの恨みがかいたくて私たちを襲っていた、ということでいいのかしら? あ、嘘をついたら容赦しないわよ」


 ミルクさんの言葉に、勢い良く横に振られようとしていた首が、ゆっくりと縦に動く。


「そう。ならよかったわね、幸いにも誰も死んでいないし、あなた一人で片がつくわ」


 その言葉に合わせ、取り囲んでいた猫たちの目がギラリと光る。じりじりと、輪が狭められていく・・・。


 

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