捕り物
5番と番号をふられていた路地裏に到着すると、そこではすでに猫数匹と人型のネコ1匹に一人の人物が囲まれた状態で膠着していた。
フード付きのマントのようなものを羽織り、顔はよく見えないが大人だとすれば体格的には小柄な部類に入るだろう。
「こいつが?」
「あぁ、こそこそ隠れて狙ってやがった」
先にいたネコに確認をとっていると、
「君たちはなんなの? 愛護団体かなにか?」
マントの人物がふいに口を開いた。
声を聞くと、まだ若い女のようだ。
「お前こそなんなんだ。なんの恨みがあってこんなことを」
「ん~、恨みは特にないんだけどね。これは実験だよ。ねこが魔物を呼び出せるのかっていうね」
悪びれたふうもなく、のたまう。
「だけど、正直がっかりだよ。ねこは執念深いって言うから、期待してたのにさ。これだけやっても魔物どころか、人間を警戒する様子もほとんどないんだもんなぁ」
「ずいぶんと危ないことをするものですね。それで本当に魔物が出てきたらどうするつもりだったのですか?」
「どうもしないよ。ぼくの望みは、この世界の破滅だもの」
フードを被っていても、どこか遠くを見ている様子が伝わってくる。
(これはもしかして、俗に言う厨二病というやつだろうか。どこの世界にもいるもんなんだなぁ)
「なんでだろう。せっかく転生して、世界を滅ぼす力を与えられたのに、ぜんぜんうまくいかないし」
(ん? 今、なにか)
「あれ、そう言えばそのオーラ、もしかして君も」
やばい。いくら他人に興味のないネコだからといって、こんなに大勢の前で話されてはかなわない。咄嗟に距離をつめ、マントの中の顔を覗き込みながら相手の言葉にかぶせるように声をかける。
「その話は後で、ゆっくりとお聞きしましょう。二人きりで!」
勢いがとまらず、抱きつくような形になる。そして、ばっちりと目が合ったと思った瞬間。
相手の顔色が、赤くなって白くなって。白目をむいて倒れた。
「でかした、ムツキ!」
「よし、縛り上げろ!」
そして、彼女はそのままグルグル巻きにされ、ネコの集会所へ運ばれていってしまった。
特に強く締め付けたわけでもないのに、なぜ彼女は気を失ってしまったのだろう。持病などがなければいいのだが。
少し不安を感じながらあとを追った。




