作戦を開始します
日の当たりや風の通りの変化に合わせて少しずつ場所を移動しながら、二度寝、三度寝と繰り返し。ようやく皆が起きだしたのは日も傾きかけた頃だった。
それぞれがぐぅ~~っと前肢から後肢まで身体を伸ばし、後肢はさらに入念に片足ずつ伸びをして、顔を洗ったあと。
「あぁ、よく寝たわ。それじゃ、みんなそろそろ始めましょうか」
ミルクさんの一声で、だらけきっていた空気がぴんと張り詰めた。
「各自、安全に配慮し、持ち場へつきなさい。犯人は可能ならば生け捕りにすること。検討を祈ります」
その言葉が終わるや否や、皆が一斉に散開し、割り当てられた持ち場を目指して音も無く走って行く。
「では、わたしたちも行動を開始しましょう」
「はい」
ボンッ
その場に残ったミルクさん、わたし、オジョー、他数名は、それぞれに人間に変化した。今回は脱ぎ着している時間が無いので、服を含めての変化である。
「それでは予定通りに。何かあれば合図をお願いね」
猫のときの印象そのままに、すらりとした体に褐色の肌の妙齢の女性姿となったミルクさんは、そう言うと軽やかに屋根の上へと消えていった。
(もう少し人間らしく振舞ったほうがよいのでは? いや、目撃されなければ構わないのだろうか)
「では、わたくしたちも急ぎましょう」
「うん、そうだね」
オジョーと二匹、こちらは人波に紛れるように歩き出す。
話し合った結果、決まった作戦は実に単純だ。待ち伏せと奇襲。ネコの得意技である。
効率がいいとは言えないかも知れないが、獲物がいるのはわかっているのだから、より確実な方法をとってもいいだろう。それに、プラスで人に化けられるものが挟み撃ちにすることで、逃げ道も減らすことができるはずだ。




