襲撃者
もともとネコは身体も柔らかく、慎重なタイプが多いこともあって普段ケガをすることはあまり無い。
ところが、わたしが再生魔法を練習しだしてから程なく、ネコ達からのケガの治療を依頼されることが多くなった。
軽い擦り傷から普通なら縫合が必要なレベルまで、ケガの程度はさまざまだったが、それにしても数が尋常ではない。
話を聞くと、いつもとび乗る場所に尖った物が置いてあったとか、普段滑らない場所でひっくり返ったとか。少し気になったのは、人間が何か投げつけてきたと言った者もいたことだ。そのネコは少し掠った程度だといっていたが、傷口は爛れたようになっており、デブリードメントが必要だった。なにか魔法的なものが使われていたのか、薬品の類か。
とにかく、ただ追い払うという目的ではなく明らかに危害を加えようという意思を感じる。
人相などが分かれば警戒することもできるかと思ったが、
「人間なんてみんな似たような顔してるしな~。格好もよくその辺にいるのと一緒だったぞ」
といった返答しかえられなかった。
そのときはたまたま、よっぽどの猫嫌いに遭遇してしまったのかとも思ったが、その後もケガ人は増え続け、人間にやられたと言う者もたびたび現れるようになった。ただ、どのネコに尋ねても"その辺にいるようなやつ”、"人ごみに入られて見分けがつかなくなった”といった回答ばかりで、同じ人間なのか、そうでないのかさえわからない。ただ、その頃には通り道の危険物などもそいつ(ら)のせいではないかという話になり、結果、ネコ達は人間に対し強い警戒心と不信感を持つようになっていた。




