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治癒の練習~動物編~

「~〈治癒(キュア)〉!」


 呪文を唱えると同時に、魔力が傷口を覆い修復が始まる。

 それは今までと同じだが、今わたしは自分の手のひらより広い範囲の傷口を一度に治す練習をしていた。

 まず、傷全体にかぶさるように手のひらを広げる。手の形が崩れてしまうと人が見たときに問題視されかねないので、形を保ったまま、一部分だけを霧のようにうすく、でも途切れないように。


 失敗したときに見られては困るので、練習はメジがいないときに動物相手にこっそりと行っていた。


「痛みはどうだった?」

「えっと、風に当たったときくらい・・・かな。でも、もう治ったから痛くないよ!」

「それはよかった」


 今回治療したのは、ケンカ中に角を引っ掛けたシカ。結構大きく裂けたような傷だったので、そこまで深くはないが普通にやれば両手を使っても三回くらいは繰り返さないとすべてふさぐことはできなかっただろう。


(痛みの軽減だけでなく、時間短縮にも使えるな)


 手を広げるだけなら、練習すればそれこそ一瞬だ。あとは、深さのある傷でも使えるようになれば・・・


「ねぇ、ムツキは、病気は治せないの?」

「え?」

「最近、なんだか食欲がなくて」

「吐き気は? 水は飲めている?」

「おなかが気持ち悪いときがあるよ。水は飲んでもしんどくない」

「ちょっと触らしてくれる?」


 確かにおなかが少し張っているようだ。


「痛みは? 何か変なものを食べたりはしていない?」

「痛くはないよ。食べてるのもいつもの草とかだけ」


 消化管の停滞だろうか。それなら・・・

 おなかに手を当て、体の中の臓器を意識する。そして、胃や腸の蠕動運動が活発になっている様子をイメージしながら


「〈(ヒール)し〉! さて、どうかな?」


 げぇぇぇ~


 シカの口からものすごいげっぷが出た。


「あ、なんか反芻したくなってきたかも」

「・・・そう、よかった」


 もしかして、と思ってやってみたが、イメージさえできればヒールは体の中にも有効なようだ。

 今度テオドールさんにも試させてもらおう。

 

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