治癒の魔法について
最初神殿に来たときに見た惨劇のような場面。あれは、治癒魔法が傷口に魔力を触れさせる必要があることに起因するものだった。
魔力は人の表面を覆うように現れるもので、あまり拡大することができないらしい。そのため、深い傷を治そうとしたときに表面だけを触っていると、皮膚だけが再生して中がくっつかない、などということが起こってしまう。
そして、魔力だけが触れるのなら痛みはないが、大きく隙間を開けるわけにはいかないので、どうしても手が触れることになる。だから、泣こうが喚こうが手を突っ込んで奥から治療する必要があるのだ。
麻酔薬や鎮痛剤は、あるにはあるが非常に高価で、また安全性も確立されておらず実用的ではなかった。
結果、人々の中では、少しひどくても命にかかわらない程度の怪我であれば魔法には頼らず自分の力で治そうという人が多いとのこと。
この話をメジから聞いたとき、わたしは思った。
(もしかして、変化を使えば痛みの軽減ができるのでは?)
たとえば、手を細い糸のようなものや霧状に伸ばすなどして傷を覆えば、一度に広範囲をカバーできるし、痛みもほとんどなく治療できるのでは。
思いついてみるとさっそく試してみたくなった。
(問題は、人に対してどうやって変化をごまかすか、だが)
動物相手であれば大概のことは受け入れてもらえる。というか、気にもされない。自分たちにとって都合がよければ万事オッケー、というのが彼らの基本スタンスだ。
(いったいどうするか・・・。魔法にはそういうのなさそうだし)
とりあえず最初は動物たちからはじめてみて、いい案が思いついたら人間に試してみよう。




