魔法を練習しよう
「まずはとにかく魔力の流れを意識することねぇ。これができないと魔法は使えないわ。さっき、私が癒しの魔法をかけたとき、なにか感じたかしら?」
「えーと、温かいものに包まれていくような」
「そう、それが魔力の流れよ。それが自分の中から溢れてきて、周りに働きかけることで魔法という現象になるの」
「なるほど」
「じゃあ、そこにいるテオドールで練習してみましょうか」
「えぇ!?僕かい?まぁいいけど」
「それじゃ、自分の魔力がテオドールを包み込んで、元気にしていく様子をイメージして」
「魔力・・・包み込む・・・元気に」
「呪文を唱えて」
「〈癒し〉!」
呪文を唱えると同時に、自分の手のひらからあふれ出るものが感じられた。一瞬手汗かと思って焦ったが、目に見えるものではなかったのでこれが魔力なのだろう。
そして、テオドールさんは・・・
「わぁ!疲れがまったく無くなっている!すごいね!今なら何でもできそうなくらいだよ!」
めちゃくちゃ元気になったようだ。そして、
「テオドール、あなた、すごいことになっているわよ」
「すみません、元気のイメージを少し間違えてしまいました」
ムキムキのマッチョになっていた。
「これ、もとに戻りますか?」
「ど、どうかしら。本来癒しの魔法に肉体の変化はおきないはずなのだけれど」
「えー?僕はこのままでもいいよ!」
「本人はああ言っていますが」
「うーん・・・。後で一度、解呪の魔法を使ってみるわ。それにしてもムツキちゃんすごいわねぇ。本当に魔法は初めて?」
「えぇ。今までは見る機会もなかったので」
「これが才能っていうものかしら。どう?やっぱり他の魔法も試してみない?」
「回復系がマスターできたらそのとき考えます。あ、でも解呪は習っておいたほうがよさそうですね」
元気よく筋トレを始めたテオドールさんを横目で見ながらそう言うと、マリアさんもそちらに視線を向けて、
「えぇ、そうね。それは必須だわ」
つよく頷いた。
その後、マリアさんの解呪の魔法により、無事テオドールさんは元の姿とテンションを取り戻したが、思いのほかあの姿が気に入ったらしく、わたしにこっそりと
「またよろしく頼むよ。僕で戻す練習もすればいいしね」
と、耳打ちしてきたのだった。




