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魔力の砂時計と魔法の使い方

 しばらくして、ようやくマリアさんの抱擁から解放されたわたしは、魔力の砂時計の前に連れてこられていた。

 砂時計は思ったよりも小さく、両手で掴めるほどだ。そして、砂時計というのにその中には上にも下にも全く砂が入っておらず、空っぽだった。


「これを両手で握って、中に意識を集中するんだ。その時現れる砂の量が君の持っている魔力の量だよ」


 そう言って渡された砂時計は、見た目によらずずっしりとした重さがあった。

 包むように持ち、じっと中に目を凝らす。

 なにも起こらない。

 さらに気合を入れる。

 なにも起こらない。


(いや、まさかな)

(大丈夫、大丈夫だと思うが、万が一魔力がなかったら・・・あいつ、どうしてくれようか)


 そんなことを考え出したとき、


 さらさらさら・・・

 

 砂時計の中で、光りながら落ちていくものが現れた。


(あ、ちゃんとあったんだ)


「よかったね、ムツキちゃん。ちゃんと魔力もあるみたいだし、それにいい色をしている。純粋で回復魔法にも適した魔力だよ」

「ありがとうございます」

「本当に真っ白ねぇ。ここまでのものはなかなかお目にかかれないわ」

「そうなんですか?嬉しいです」


 なんて話している間も砂は止まらず落ち続け、今やクビレを越えさらに増え続けている。


「あの、これ止まらないんですけど」

「え?そんなはずは・・・あれ、ほんとだ。壊れちゃったのかな」 


 テオドールさんの手に渡ったとたん、中の砂はフッと消えてしまった。


「ん~?おかしいなぁ。ま、いいか。君に十分な魔力があるとわかったんだから、とりあえずはそれで」


 あれが壊れていないとしたら、規格外の魔力がわたしの中にあるということだろうか。まぁ、蘇生魔法を使うために必要なのだろう。今は特に気にしなくてもいい、はずだ。


 それから、マリアさんに回復系の魔法についてさらに詳しく教えてもらえることになった。


「で、具体的にはどうすれば魔法が使えるんですか?」

「ん~まずは、治したいところに手を当てるのね。癒しの魔法の場合は全体的なものになるから手をかざして包み込む感じで」


 そう言いながら、マリアさんは実際わたしに向かって手をかざした。


「それから、治れ~って念じながら魔力を流し込む。口に出して言ってもいいわよ」

「はい」

「このとき、実際に治ったところをよくイメージすると成功しやすいわ。できるだけはっきりとね」

「なるほど」


 この世界、とにかくイメージが大事らしいな。


「そして、呪文を唱える。<(ヒール)し>!!どう?元気になったかしら?」

「へぇ、すごいですね。疲れがまるで無くなってる」

「術者の技術力や魔力の量なんかで完全回復できるかは変わってくるのだけれど、これくらいなら、ね」


 微笑みながら答えるマリアさん。


「マリアさんは、どれくらいの魔法まで使えるんですか?」

「私が使えるのは再生魔法の簡単なものくらいまでね。指くらいならなんとかなるけど、それ以上はお手上げだわ」

「それでも、再生魔法が使えるだけでも相当すごいんだよ。普通は治癒魔法でも、擦り傷程度しか直せない術者の方が多いんだから」


 テオドールさんが横から教えてくれた。


「そうなんですか。マリアさん、すごいです」

「ふふ、ありがとう。ムツキちゃんはどれくらいまでできるようになりたいのかしら?」

「あ、蘇生魔法です」

「え?」

「蘇生魔法が使えるようになりたいです」

「えっと、今までの話聞いていたかしら?」

「はい、聞いていました。でもわたしは、蘇生できるようになりたいんです。いえ、ならないといけないんです」

「ま、まぁ、夢を大きく持つのはいいんじゃないかな。なにか事情もありそうだしね」

「そ、そうね。目標は高いほうがいいかもしれないわね」

「でも、まずは癒しを覚えるところからですよね。よろしくご指導願います」

「え、えぇ。がんばるわ」


 なんだかぎこちない感じになってしまった。普通に話していたはずなのに。そういえば、昔から人と話すとこういうことが多かった。最近細かいことを気にしないネコたちとばかり話していたから忘れていたが。もう少し会話に気を付けないといけないな。


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