予習をしよう
イカとの戦いから数日たち、船の上での生活にも慣れてきた頃。
大陸に行くにあたり、気になっていたことをマグロさんに質問することにした。
寺の図書館の本はあらかた読みつくしたのだが、ネコが集めたものだけあってどうしても偏りがあった。また、分類もめちゃくちゃだったため、どこまでが現実でどこまでが物語の世界なのかはっきりしないことが多かったのだ。
たとえば、
「マグロさん」
「なんだ?」
「あの、大陸には空飛ぶ馬がいるというのは本当ですか?」
「空飛ぶ馬? あぁ、天馬のことか。西の方にはいるらしいが、それがどうかしたのか?」
「いえ、本で読んだので」
「へぇ、坊主本が読めるのか。なかなかやるな」
と、言うように、ファンタジー的な生き物が普通に存在している一方で、
「じゃあ、空飛ぶ魚はいますか?」
「なにを言っているんだ、魚が空を飛ぶわけがないだろう」
(いや、これも本に載っていたんですけれども)
なんていうふうに。
それから、魔物についてだ。オショーさんからの話でチラッと出てきたものの、結局まだ出会ったことはなかった。
図書館の本にはほとんど記述がなかったため、どういったものなのかちっとも分からなかったので尋ねたところ、概要を教えてくれた。
いわく、魔物というのは人間の怒り、悲しみなどの不の感情が高まると現れるものらしい。
個人レベルでどうにかなることは少ないが、人数が集まると発生しやすくなるという。そして、その強さも大きさも、その感情の強さ、大きさに比例していく。
そのため、かつて一度大きな戦争のときに魔物によって人類が根絶やしにされそうになって以来、この世界に戦争はない。
なんとか協力して魔物を倒したあと、人間は言葉を統一した。そして、揉め事は可能な限り話し合いで解決し、どうしてもの場合はスポーツなどの勝負で決めるようにというルールが作られたそうだ。
「とにかくなんでも壊すし、見境なく暴れまわるから大変なんだ。あの戦争の後からは人間も気をつけるようになったし、現れても数も強さも大したことないんだけどな」
それでも、ゼロにならないところが人間の悲しい性ということだろうか。
他にも、必要そうなことをいろいろと教えてもらっているうちに、船は無事大陸に着いたのだった。




