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船上での戦い

「え? いかだ?」

「やばいぞ、人間たちは・・・まだ気づいていないのか。仕方ないな」


 そこでマグロさんは人間用に声を変え、叫んだ。


「おーい、イカが出たぞ!!」

「なに?! イカだと?」

「どこだ!」

「三時の方向、距離およそ二海里!」


 にわかに騒然となる船内。


「マグロさん、イカって危ないんですか?」

「あぁ、なにしろでかいからな。絡みつかれたらどうしようもなくなる」

「じゃ、早く逃げないと」

「いや、この距離だともう・・・」


 ぬるり


 マグロさんが言い終わる前に、柵の向こうから大きなイカの足が現れた。


「え、え!? これどうすれば」

「こうするんだよ!」


 ゴウッ


 そう言って、マグロさんは振り向きざまに火を吹いた。


 じゅぅぅっ


 あたりに漂うおいしそうな匂い・・・ じゃなくてっ


「えぇ?! いいんですか?!」


 いろんな意味で。


「大丈夫! 俺は特別な猫ってことになってるからな!」

「でも、船が燃えたりとか!」

「そんなへまはしないさ! それよりほら、お前も咬むなり引っ掻くなりしろよ。食っちまってもいいぜ!」

「いや、今、食欲無いんで」


 そんなことをやっているうちに、船員たちも集まってきてイカに向かって攻撃を始めた。

 そして、本当にマグロさんが火を吹いていることに対してはまったくのノータッチである。


「これ、倒せるん、ですかっ?」

「無理だな!」

「えぇ?!」

「だから、諦めさせるしかないんだが、今日はちょっと、しつこいなっ!」


 それぞれイカの足とやり合いながらなので、切れ切れの会話となる。


「そもそも、これ、火が効くんですか?」

「あの、ヌルヌルさえなければ、よく効くんだけどな!」


 そう言っても、イカはヌルヌルに覆われているものだが。


 (あ、それなら)


「マグロさん、ぼくが火を吹いても大丈夫ですかねっ?」

「ん~、まぁなんとかなるだろっ」


 よし、それならばあまり気は進まないが・・・


 がぶりっ ゴオォォォ


 思い切って向かってきた足に噛み付き、そのまま力いっぱい火を吹き付ける。


 ぶぅんっ 


 くい込んだ牙から熱と炎が伝わったのだろう。悶えるように足が振り回された。

 慌てて口を放し、甲板に飛び降りる。


 ざばっざばっ


 船を捕まえようとしていた足が海へと引っ込んでいく。


「おぉ! やるじゃないか!」

「・・・生臭い」


 処理されていないイカは全然美味しくなかった。

 

 ともあれ、なんとか大きな被害もなくイカを撃退することができた。

 また、懸念していたわたしの火吹きは特に問題視されることもなく、むしろよくやったとお褒めの言葉とご褒美の魚をもらってしまった。

 ただ、その頃には船酔いが再発していたわたしは、ほとんど食べることができず悔しい思いをしたのだった。

 






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