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初めての船旅
なんとか待ち合わせにも成功し、天候にも恵まれ、無事出発の運びとなったのだが。
(・・・あぁ、気持ち悪い)
ネコは平衡感覚がすぐれているから、船酔いなんてしないものだと思っていた。しかし、どうやら違ったようだ。
ふわふわと揺れる船の上で、わたしはグロッキー状態になっていた。
「だらしないなぁ、坊主。こんな穏やかな波で。嵐になったらどうするんだ?」
「・・・いっそ大きく揺れてくれるほうがましかもしれません」
マグロさんは流石というか、まったく平気なようだ。
というか、今は話しかけないでほしい。しゃべると何かしら出てきそうだ。
「甲板に出て、風に当たれよ。少しはましになるだろう」
「はぃ・・・」
なんてことだ。人間の時には、車でも船でも、本を読んでいたって平気だったというのに。
それでも外に出て、きらきら光る海とどこまでも続く空を眺めていると、幾分か気分も楽になった。
(おや? あれはなんだろう)
「マグロさん、あそこでうねうねしているのはなんでしょうか?」
「おう、あれは・・・あれは?!」
「なんですか?」
「イカだー!!」
・・・え? いかだ?




