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宿屋の少女

「さて、と」

「どうするつもりですの?」

「どうって、まぁ普通に」


 そう、普通に入り口から入って。


「にゃぁ~」

「え?」

「ほら、オジョーも」

「あ、えぇ、に、にゃぁ」


 オジョーが驚くのも仕方がない。だって、本当に意味も無く“にゃぁ”なんて普通は言わないからだ。

 ただ、人間に挨拶をするという意味ではこの方が、受けがいい。

(だって、ネコの会話って目線とか尻尾の動きとか、普通の人には分かりにくくってしょうがないからなぁ)


「あ、しろちゃんだ! またきたの?」

「にゃ」

「あら、ほんとね、お隣はお友達かしら?」

「にゃ」

「なにかたべる~?」

「んなぁ~」

「じゃ、もってきてあげるね!」

「ゆり、走っちゃだめよ!」

「はーい!」


 受付にいた3、4歳ほどの少女(ゆりちゃんと言うらしい)が、奥のほうへ急ぎ足で引っ込んでいった。


「あ、あのムツキさん、今のはいったい・・・」


 オジョーが驚くのも無理は無い。

『にゃ』

で会話ができるとは思わなかっただろう。


「ど、どうしてあの子はムツキさんの本当の名前を?!」

「あ、そこ? たぶんただ単に色で言っているんだと思うよ」

「そ、そうなんですの。まさか私たちの言葉が分かるのかと思ってあせりましたわ」

「でも、子供って動物に近いところあるからね。言葉は通じなくても案外意志疎通はできるかも」

「じゃあ、あなたお腹すいたな~、と思ってましたの?」

「いや、特には」

「全然通じてないですわよ」


 両手に山のように食べ物を抱えて帰ってきたゆりちゃんを見ながら、あきれたようにオジョーが言った。


「ま、なんとなく仲良くなりたいという気持ちは伝わったということで。ほら、せっかくだし」

「・・・はぁ。ここにコフクさんがいればよかったですわね」


 とりあえず二匹ふたりで、お腹いっぱいになるまで食べて帰る時間になった。





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