社会見学~町の中にて~
「うわぁ~ここが人間の町かぁ!」
「地面が硬いですわ」
「ねえ、どこかからおいしい匂いがするよ!」
「・・・人間がたくさん」
町に着いたみんなは、目をキラキラさせて周囲を見回している。口では文句を言っているオジョーも、そわそわと落ち着かずあちこちに興味があるようだ。
建物は平屋建てのものが多く、行きかう人の服装は和装がほとんどだが、髪は短く切られていたりする。
当初から思っていたが、ここはわたしのいた世界の日本に近い文明のようだ。時代は少し違うようだが。
(ふーん、これは・・・明治初期くらいかな?)
歴史は苦手なのではっきりとはいえないが、文明開化の頃がこんな感じではなかったか。
「では町を一回りするかの。みな、離れないようにの、迷うと厄介だからの」
ぴんと立てられたオショーさんの尻尾を目印に、するすると人の間を抜けながら行進する。
「おかーさん、ねこー!」
「ほんとね、親子かしら」
周囲の反応をうかがうと、おおむね好意的だ。
オショーさんにそう告げると、
「そうだの、この姿の時には人間と共存しておるからの。役に立つと思っておるのだろ」
とのことだった。
要するに、ネズミ捕りとかだろう。
「だが、時々われわれに向かってくる人間もいるからの。そのときは決して戦ってはいかんぞ。怪我でもさせると厄介だからの」
「そんなに人間って弱いの?」
「この大きさでも、少なくとも1対1で負けることはないの。ただ、そんなことをしてもやりにくくなるだけだからの」
「そうですわね、わたくしたちの目的はあくまで情報収集、ケンカではありませんわ」
「おいしいご飯も食べられなくなると困るしね」
そうしてこの日は、みんなでぐるっと町を見て回り、オショーさんの解説を聞いてお寺へと戻ったのだった。
やっぱり説明は猫目線だったが、実物を見ながらだったので授業よりはかなり分かりやすかった。




