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化け学の授業 中級クラスへ

 何度か授業に出ているうちに、わたしはあることに気がついた。

 どうもこの変化、サイズは変わっても重さは変わっていないようなのだ。

 みなが好き勝手大きくなったり小さくなったりしているので、どうしても接触事故みたいなことがおこるのだが、小さいからといって撥ね飛ばされる訳でもなく、大きいからあちこち壊してしまうということもない。

 ネコジャラシ先生に聞いてみると、


「そうですね、あまり考えたことはなかったですが、確かに重さはあまり変わった感じがしないですね」

 

 とのこと。

 そこでわたしは思った。つまり、この変化の大きい、小さいとは密度の問題なのではないか、と。

 であれば、話は簡単だ。小さくなるときは分子間が密になるイメージを、大きくなるときはその逆を考えればよい。

 実際、この考え方に至ってから、わたしはほとんど失敗なく体の大きさを変えることができるようになった。


「ムツキさんはそろそろ中級のクラスに上がってもよいかもしれませんね」

「わ、わたくしも」

「オジョーさんはもう少し頑張って下さい。ほらまた後ろの調整がおろそかになっていますよ」

「むむむ・・・」


 オジョーは、鏡を見て練習しているためか、正面から見た変化はかなり上手くなっていた。

 ただ、真正面にたつと体の長さは見えないので、ダックスフントのように胴長のネコになってしまうことが多いのだった。


「ではムツキさん、行きましょうか」

「悔しいっ~‼ ムツキさん! すぐに追いついて差し上げますから、覚悟なさることね!」

「う、うん、がんばって」


 なにをどう覚悟するのかはわからないけれど。そもそも別に競っているわけではなく、わたしはわたしの目的のために最短を目指しているだけだし。


 先生に連れられて次のクラスへ入ると、いままでと違う景色が広がっていた。

 ネコの世界にいるのだからある意味当然なのだが、これまで回りにはネコが溢れていた。ところが、今目の前にはネコがいなかった。

 いや、よくみると、あっちの棚には尻尾がはえているし、こっちの置物もネコ耳がいやにリアルである。

 これはつまり


「中級クラスでは、目の前にあるものとそっくりに化けるというのが課題です。生き物ではないものはその中でも難しいものになります。まずは、2()一組になってお互い化けあうことからはじめます。ムツキさんは途中入級になるので、今あるペアのどちらかが上の課題にいくか、新しい子が入ってくるまで先生と練習しましょう」

「はい、よろしくお願いします」


 そこにあるものを見ながら真似るのだから簡単だろうと思っていたのだが、これも結構難しかった。

 絵を描くときのように、知っているつもりでもいざ描こうとすると細部が曖昧になってしまう。きちんとした観察力、集中力が必要だった。

 さらに難易度が上がると、時間制限も付くようになるらしい。いざというとき素早く化けるためとのことだ。


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