プロローグ
『世界の9割は平凡な人間で構成されている』
それについては、特に思うものがない程当たり前の事だし、言葉を重ねる必要がない。皆がそれを実感している筈だ。そして、こんな事をするだろう。
創作物の中の登場人物に憧れる。
分からなくもない。
例えば、普通死んでしまったらそこで人は終わってしまう。遺せるものはあるかもしれないが、1つの個体としては消滅してしまう。
しかし、それが覆るのが小説の中では多々あるのだ。死んだとしても第2の人生が用意されているとか。
自分の平凡さに飽々して、「そんな事が起こらないのか」とか思ってしまう。
まあ、そこは早めに現実との違いを割り切ってしまうのだか。
話が逸れてしまったが、僕が言いたいのは、『9割以外の人』つまり非凡、元々才能を持って産まれた天才と呼ばれる人たち。産まれた後と努力で知識や運動神経を身に付けた秀才と呼ばれる人たち。
これで1割を殆ど満たすと思われるが、例外的に『他者から才能を与えられる人』もいるという事だ。
「努力もせずに才能を手に入れられるなんて素晴らしいじゃないか」と、思う方もいるかもしれないが、というか、僕もその1人だったが。
いやぁ良い事なんて何もないなぁ!、今なら声を大にして言える。寧ろ悪い事が増えた気がする。そのままラッピングして誰かにプレゼントしたいぐらいだ。
これから話すのは、極めて普通の高校生が、少し変わった環境にいる事でちょっぴり運命を曲げられた、そんなどうしようもない体験談だ。