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11前夜

 宿屋。四人の泊まっている部屋。


「足を引きます、もっと」

「こう?」

「はい。そして手はこう」

「こうか?」

「もっと指先を伸ばしてこんなふうに」

「ふんふん。こうだな?」

「いえちょと角度が」

「こうだな?」

「アビー曲がってる! 肘が曲がってるよ!」

「リュック、アビーの気が散るから静かにしてるのよ」

「ていうかアビー、もうソフィアに代理で送ってもらったら?」

「……ケンジ。そうねえ。アビー、どう」

「もう一回やってみる」

「え。ええ」

「アビーがんばって!」

「こうだ!」

「……アビー。気を落とさないで」

「もういいよ。いい。ソフィアにお願いする。ジョセフにね。こう送って」

「これね。ええわかりました。では――」

「ああ! 飛んでる! ソフィア凄い」

「ソフィア、ありがとう」

「すげえな。今度、僕にも教えてくれる?」

「もちろんいいわよケンジ」



   * * * * *



「えーっと。相手に届いたかどうかはどうやって確認するんだっけ?」

「アビー。それはね。ここのところを見ればわかります」

「これか。まだランプ着いてないな」

「おかしいわねえ……。届いていないのかしら」

「失敗?! ねえソフィア? 失敗したんだ?」

「リュック、そんなこと言うなよ。誰だって間違うことはあるんだから」

「あ! 着いたよ。無事に届いたみたい」

「……安心しました」

「よかった! よかったね! アビー!」

「ふふ。ジョセフ、びっくりさせちゃったかも」

「よかったね。僕にもできるのかなあ」

「すぐに覚えられるわケンジ。これはとても簡単な魔法なんです」

「――え」




   * * * * *



「アビー。あれほど言っておいたのにどうして伝書を飛ばさなかったのだ。おかげでどれほど私が心配したかわかっているのか?」


「ジョセフ。どうしてここに」


「伝書も飛ばせないような事態なのか、いったいどこにいるのか。心配させられた挙げ句、やっと送られてきたと思ったら明日リアムの家へ行くだって? 幸い私はちょうど手が空いたところでね。ここへ来たというわけだ。なに、一秒も掛からなかったよ。――なんだ。おまえたちは移動魔法を使わなかったのか? どうしてまた」


「ジョセフさんが来てくださってうれしいです」


「どうだねケンジ。明日の作戦は立てているのかい」


「はい。いまから四人で話し合って立てることになっています」


「おまえたちの顔を見て安心したよ。明日もがんばってくれたまえ」


「え? ジョセフ? 帰るの? もう?」


「ジョセフも一緒に行こうよ! ジョセフは強いから一緒にいったらあっという間だよ!」


「きっとお忙しいのよ。今夜手が空いたというだけで明日は明日でお仕事が山積しているのでしょう」


「そうなんだよ。だけどおまえたちだけでここまで来ることができたんだからね。もう大丈夫だと思うよ」


「ジョセフ……」


「ジョセフさん。ぼくたちだけでやれます。できます」


「うむ。だがもしも緊急事態とあればすぐに呼ぶんだぞ。何時でも構わん。0.7秒で必ずやってくる。わかってるな?」



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