「鳥」 「居場所」 「歯が痛い」
「鳥」
心が震えるままに任せ
飛び立つあなたまで
風に任せ
命を賭して
天気に任せ
空に立つ
「居場所」
なんだか最近なにもかもが億劫で
朝起きるのにも時間がかかるようになった
ついさっきの事が永遠の昔の話に思えて
胸の内に引っ掛かったまま忘れていく
このままどこにも行かずに消えてしまえたら
そんな幻想が幾度も頭をよぎる
どこにもない
ここではない
どこかはない
いつかもない
いまとはちがう
べつのばしょ
もうここにはいられない
「歯が痛い」
一昨日から歯が痛む。
左上の奥歯だ。
痛くて何も手がつかない。
話しかけられても上の空のような返事しかできない。それほどに痛いのだ。
仕事に支障をきたすのだが、痛みには抗えない。
キリストも歯痛に苦しんだことがあるのだろうか、などと考えてみる。
そんな思考を持てるに、まだ余裕があるのかな、などと油断していると、急激に痛みが増す。
俺のことを忘れるな、とでも言うように。
ああ、痛い。歯が痛い。