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初めての料理


 キャロルはいつの間にか寝ていたようだ。


 目が覚めたら朝だった。

 普通なら夜に魔獣や野生動物に襲われているはずなのに……無事だ。


「生きてるわ」

 森の木の隙間からは青空が見える。転移した時は曇り空だったわね。そしてキャロルは、戦場を思い出す。


「隊長の言う通りに逃げたけど、どうしたらいいのかしら」


 そして何故か私の横にはモフモフが寝ている。


 そして起き上がり近くを見渡すと魔獣の死体の山があった。

 「ひっ」思わず声を出した。



 モフモフが起きた。モフモフの犬……可愛いワンちゃん。


 もしやワンちゃんが……私を守ってくれたのかしら。認識阻害のメガネは割れてしまった。きっと効果は薄れたに違いない。キャロルは認識阻害のメガネを外しモフモフのワンちゃんにお礼を言う。


「ありがとう。モフモフのワンちゃん」


 モフモフはジッと私を見た、そして頬を舐める。


 あまりの可愛さに抱きついた。


 モフモフは私に頬を擦り付け何処かへと行こうとする。


 思わずキャロルはモフモフに言う。


「ワンちゃん、行っちゃうの?」



 モフモフは立ち止まり、振り向きゆっくりと再び私の元にきた。

 戻るモフモフに抱きつき頬擦りしていたら私のお腹が盛大になった。森にこだまする私の腹の音……。



 モフモフが驚いている。そして自分も驚いたのだった。



腹の音の木霊が鳴り止み、恥ずかしい私はモフモフに言う。


「可愛いモフモフのワンちゃんは……お腹空いていたのね」


 ジト目で見るモフモフの頭を撫でて魔獣の死体の山の前に立つ。


「さて、お父さんからのプレゼントに確か辞典があったわね」

 キャロルは腰につけたバックから辞典を取り出す。父が戦場でみた魔獣の特徴と父が描いた姿絵の自作の辞典である。父の遺品として頂いた物の1つだ。


「どれどれ………お父さんは……壊滅的に絵が下手ね」

 


 犬に問う。

「貴方が最後に倒したのはどれかな?」


 一体の魔獣の死体を前脚で叩く。

(これは牛に似た魔獣だ。たしか……)

 

 辞典をペラペラとめく。


『浄化し焼くと美味い』


「これにしましょ。浄化の方法は……確かこっちの辞典に……あった。…………ふむふむ。もしかしたら、お父さんは偉大な魔法使いだったのかしら」



 急ぎ魔法陣を展開する。牛の姿をした魔獣に浄化魔法をかける。

 そして……。バックからナイフを取り出す。


 キャロルは魔獣を皮と肉に分ける。肉を貴重な水筒の水で洗う。

 素材は……収納魔法がかかった小さなポーチに入れる。父の所から持ってきた物だった。父の遺品は宝の山であった。殆どの荷物を収納バックに入れ、さらにそれを収納ポーチにいれたのでキャロルの荷物は少ないままであった。


 少ない時間で父は私に私物について可能な限り説明をしてくれた。最初で最後の親子の時間だった。


 食品が傷まない様氷魔法をかけたBoxに入れる。


 ついでに他の魔獣もBoxに入れてしまう。後で餞別したいから収納Boxでは時が止まると父は言っていた。


 やはり父は偉大な魔法使いだったのね。


 モフモフはその様子を大人しくみている。

 魔獣を片付けて、さて食事の準備だ。

 周囲の森から木を拾う、それを見たモフモフも手伝う。


 魔法で火を起こし、収納Boxから鉄の延べ棒を出す。

 風魔法で押し潰し板状にする。集めた石で土台を作り木に火を着ける。鉄板を乗せ温める。


 そして魔獣肉を焼く……あたりにいい匂いが漂う。


 Boxから調味料をだし味付けをする。もちろん父から頂いた物だ。

 焼いただけの肉だ。味見をする。


「めちゃくちゃ美味い」

 モフモフにも分け合える、遠征用の皿に沢山の肉を入れた。


 モフモフは匂いをかぎ怪しくないのか確認している様だ。それを横目に私は肉を頬張る。


 モフモフは一切れ肉を食べる……。


 山盛りの肉は一瞬でモフモフの腹の中へと消えた。

 そして満足そうに私の膝の上に顔を乗せる。


 さて次は寝床の確保ね。モフモフを抱きしめ、立ち上がり周囲を見渡す。

 私は大きな木の周囲の木を魔法で切る、そして地面を平らにする。


 さて、この木の山どうするか……モフモフも見ている。

 切り倒した木材を適当な大きさに魔法でカット私収納バックにいれる事にした。

 

 さて次は、拠点となる家よ。もし森の持ち主が現れたら謝り出て行くとしよう。モフモフに一応尋ねる。


「ここに家を建てようと思うの。森の持ち主は優しい人かしら、持ち主に見つかるまで住ませてもうわね」


 収納バックを漁るキャロルを不思議そうに見つめるモフモフであった。

「あった。これはねお父さんからもらった家なの」


 キャロルの手にしているのは布に包まれた四角い物であった。


「これもね、とても素晴らしお父さんの発明でね。お家なのよ。お母さんとお父さんが生前住んでいた家でお父さんの手作りの家らしいわ。私のお母さんは半年前に亡くなったんだって。そしてずっと主治医をしていた先生が私の本当のお父さんだったのよ。そのお父さんも昨日亡くなったの」


 キャロルの元により体をすり寄せるモフモフを抱き寄せるキャロルであった。

「モフモフは優しいね。ありがとうね、私は大丈夫よ。さてお家を建てるわね。危ないから離れていてね」


  キャロルは布を広げる。見た目違い大きな布だった。布を大きな木の近くに広げる。


「これがお家の大きさなのよ。魔力を流すわね。本当はお父さんだけしか使用できないようにしていたらしいが、私が娘だとわかってね。同じ魔力の波形だからと試したら私にもお父さんの作ったものが使用できたの。だからねお父さんの作った物は全て私がもらったのよ。中にはお母さんの物も置いてあってね。全てもらったの、だから1人でも寂しくないの」


 じっと見つめるモフモフであった。

そしてキャロルは魔力を流す。すると……目の前には可愛らしい二階建てのログハウスが姿を現したのだった。


「……」

 驚くモフモフにキャロルは言う。

「モフモフが初めてのお客様よ。さぁ、中にどうぞ」


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