半壊な朝
私は、清々しい朝を迎えた。
体の痛みは全くなかった。
腕には、腕輪の感覚がする。
目を閉じて会話する。
「フラリスさん大丈夫?」
私はそれが一番心配だった。
「うん、筋肉痛…」
そこにはベッドで休んでいるご神体のイメージがあった。
イメージとわかりつつも私は木の幹を撫でてあげる。
私は、昨日の出来事を覚えていた。
精神を交換してから、私はフラリスさんの霊気に守られていた。
フラリスさんが体を返してくれていた後も半分外から眺めていて
暫くはただ何となくくっついてる感じ。
だから、この腕輪が監視装置であることも知っていたけど
必死で守ってくれた証だから、むしろ嬉しかった。
お母さんお父さん、ほんとに待ってくれてるんだ。
ありがとうねフラリスさん。
あの後、キャロスさんが私を抱きかかえてここに運んでくれた。
キャロスさんは泣きながら私に謝ってくれていた。
「俺が、奴に伝えずに一気に4人も雇ったからひどい思いさせたな。
…」
そうやってうなだれて座っていた。
倒れていたローラさんが心配…。
私は起き上がり、外を見るともう始業まで後1時間ぐらいか。
急いで起き上がり1階に向かう。
1階にはローラさん以外の全員が揃っていた。
私は挨拶をしようと思ったが、そんな雰囲気ではなかった。
そっと様子をうかがう。
「日葵、魂が抜けかけていたな。もし戻らなければ…」
キャロスさんの顔色が悪い。目の下が黒くてまるで寝てないみたいに…。
リーファさんは見かねて提案した。
「今日はギルドを休みましょう。
冒険者カウンターをできる人がいないわ?」
私はこのタイミングで声をかける。
「おはようございます。皆さん。」
みんなの顔がこちらに向いた…。
レンさんがずいずいとこちらに向かってきて突然右手を掴んだ。
「目を見せてくれ、君かどうか確認したい。」
私はレンさんの目を見る。顔色はよかった。
そんなタイミングじゃないけど、かっこいい…。
やがてレンさんが嬉しそうにする。
「日葵!生きていたのか!よかった!」
「おい、体は心配ないのか?魂が出かけてたのに…」
キャロスさんがふらふらと近づいてきてレンさんに支えられた。
汗をかいているし、足もがくがくだ。
「はい、親切な精霊さんが庇ってくれて助かったみたいです。
それより、カウンターは私がやりますからキャロスさんは
ここで休んでいてください…心配で」
レンさんが椅子まで運び、座らせる。
「諦神と話し、聞いた。」
全員の表情が憂鬱になるのが分かった。
キャロスさんは顔を伏せる。
「今回は日葵の一瞬で全て委ねる覚悟に免じて
右腕だけで終わらせてやると…
その腕輪は…人質なんだろ…?」
みんな、かなしそうだ…。
少し私の聞いている話と違う、諦神さんの試練かもしれない。
私の信じる様に心のままに話した。
「私はいつかみんなに恩返しできれば、それでいいの。
みんなが助かったなら、よかった…。」
石の腕輪が少し脈動した気がした。
触ってみると、緩い気がしたので動かしてみた。
手首から脇までサイズが自動で変わる不思議な腕輪。
その先は許さない…という警告を心に感じた。
「俺は今日、カウンタ―に用事がある。」
突然キャロスさんが立ち上がり、ふらついてまた座る。
「キャロスさん…無茶だぜ、その状態じゃあよ…」
バルドさんが背中をさすっている。
「諦神との”やり取り”中に精神力の使い過ぎ動けん。
"マッツェンダ"という男が訪ねてきたら
ギルドの中に通してくれ…。」
一呼吸おいて、キャロスさんが話した。




