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<神の怒り事件>
魔女はレンの話を聞いてとある事件を思い出していた。
それは昔の<神の怒り事件>
ーー
初級冒険者たちがとある洞窟に行き封印されていた"洞窟魔操神"と対峙する。
"洞窟魔操神"は即座に逃げた冒険者たちに怒る。
しかしその中で転送魔法にて不意打ちを仕掛けた男がいた。
洞窟魔操神が仲間に振りかざす剣を間際で止めて迎撃する。
その男はすさまじい集中力で光の矢や石弾を躱し、 転送魔法の隙を作った。
洞窟魔操神は人類を見極めるため、火龍・甲浮鮫とともに
領主に<レベルダウンの呪い>を与えた。
そして大陸中央のかつての王国を襲い結果的に「神の荒野」にした。
強力な魔物の魂を使って作った魔具<軍隊ミニオン>はただただ裏目だった。
しかし男は各勢力を着実に止めて、他への拡大を防いだ。
それが、風の勇者 …ウィッシュロック
ーー
「魔物を操り軍隊を作る神に魔物の魂は禁忌だと、馬鹿以外分かるわ」
そうつぶやいた後先ほどの話について考える。
事件の主犯格、その1柱の火龍と対峙するというのか。
魔女はこの「レン」と呼ばれた男への警戒をさらに強めた。




