Light lane - 男どもの話
重い過去と未来への宿命…
「こんばんは、日葵!」
「よお、邪魔するぜ!」
二人が入ってきて、座り込む。
私もベットの横に足を下ろして彼らを見る。
「はい、あの何か用ですか?」
レンさんが親指を顔に当てながら話す。
「特にないけど、一緒に話したくて」
どんな人たちなのかもっと知りたいな。
「じゃあ、お二人の今までの話とか」
バルドは静かに語り始める。
「ああ、そうだな…
俺は、昔はただの荒くれ者だったんだ。
アドルの村で適当に働いて、適当に喧嘩して……
そんな毎日だった。
ただ、存在意義が分からなかったんだ。」
ライトが私たちを照らす、沈黙
「そんな時、村が腐った大地の亡者に襲われた。
俺は村が壊されるのを見て切れちまったんだ。
そいつらは数十体で、腐ってて力も強い。
吐くような匂いに力も抜けるし、触れたら
病気になるから素手で戦えるような相手じゃないんだ。
俺は気がついたら鍬でそいつら全員を倒していた。
それから国の防衛隊に参加することになったんだ。」
防衛隊…向いていそうだけど…なんで…?
「雇ってくれたヌエッサンとか、一部の人には感謝したよ。
兵士達が賄賂を受け取ってほかの村ばかり巡回をしているのに
気がついちまったんだよ…。」
ひどい…じゃあ村が襲われたのはそもそも…。
「俺はまた切れて、国に嫌われるからと村にも嫌われて
今度は冒険者になった。でもそこで
ローラが報酬支払いを拒否されてるのを見ちまった。」
…そんな。
「俺は切れて切れ散らかして居場所をなくした。
そこにレンが来たんだ、あいつはローラ救ってた。
励まして、ギルドをめぐって…。
だから俺も付いていくことに決めたんだ。
俺と一緒に切れてくれる仲間だった…」
私は、その言葉を静かにかみしめていた。
レンは語る。
「俺は水の寺院出身って言ったと思うけど、
その院主のじいに将来俺は他の所で
活躍する運命を持っているって言われたんだ。
この水の宝珠がはまった腕輪を渡されて、
この国に来たんだ。
その運命っていうのが…」
バルドが割り込む
「おい、その話マジでするのか!お前おもしれー」
レンは手で制し話を始める。
「俺はじいの預言書を子供のころ盗んでこっそり読んだんだ。
そこに書かれていたのは伝説だった。」
私…こんな人達でもレベル30付近なんだよね。
確かに私なんかじゃ…
涙が再び瞼に貯まって体の温度が上がる。
しかし次の話を聞くと、それは収まった。
「実はね、俺、将来的に強い風の力と水の力、
そして土の力を扱えるようになるらしいんだ。
そうしたら、いつか火山の火龍を説得しに向かって、
その三つの力を駆使してあいつのために『巻きぐそ型タワー』
と、その隣に家を作ることが決まってるんだって!」
「な、なにそれ、はははっ!」
レンは不機嫌そうにもう一度手で制し話を始める。
「巻きぐそ型タワーは火龍がその独特の形状を気に入るんだけど
その中に住ませるのは”不便極まりない”から
ピラミッドの家を作って満足させる。」
ふ便…極まり…!…!
「巻きぐそタワーには火龍が永遠の火を授けてくれて
『地獄の塔』ができるんだってさ!」
い、いろんな意味で地獄…ふふふっ!
「ガハハハハ! おいレン、
お前まだそれ真面目に信じてるのかよ
絶対テキトーだぜ!
じいさんの作り話に決まってんだろ!
はははは!」
「いや、ほんとにじいの書いた巻物には
書いてあったんだって……!
ただ、形状とかがイメージ最悪で封印
に向いてるから、封印の塔にするって……。
何か書いてはいけない物の…」
…書いてはいけない物? ふ、封印って…それに…?
「封印されるものが…不憫すぎる!ははははは」
隣からノックで「うるさいわよ!」
と声がかかり私たちは静かになった。
…それはいつか実現する物語…かもしれない。
あわれもの 炎にまみれし 現実で 明日をさがして 地の獄上る ーじい




