優しさと覚悟
「日葵ちゃん、ちょっといい?
部屋の掃除で分からないところがあるの。」
「あ、はい!行きます!」
その様子を、キャロスさんが見ていた。
連れていかれたのは、防魔法室だった。
「あ、あの…?もしかして…」
私は防魔法室に連れ込まれたのは2回目だった。
1回目はキャロスさんが私の監視を問いただす時だった。
「聞いたわ、とんでもない魔女に追われてるって。
私たちがいても勝てないって。」
真剣なまなざし。普段のローラさんと明らかに違う
「フラリスさんに?」
念のため、確認する。
「最初はそうよ、でも私たちでは勝てないというのは思い込みよ。
精霊は集団の力を知らないんだわ。」
ローラさんも真剣に私の目を見て話す。
確かにフラリスさんは、一人かもしれないけど…。
私は胸に手を当てる。
自分が犠牲になるだけで皆が助かるなら
私はそれを選びたい。
でも、それ以外の道が選べるとしたら…。
「ギルド全員が強くなってあなたを防魔法室に匿うの…そうすれば日葵ちゃんも…」
ローラさんが涙ぐんでいる。
そうじゃないの、私にはやることがあるから。
「違う…。私は、みんなに…みんなに恩返しがしたいの。
それじゃあ、逃げるだけだよ…。」
ローラさんの背中が後ろに揺れる。
「ぇ…」と小さく漏らす。
「だったら、私はレベルアップして服を脱ぐことを選ぶ。
みんなに安心して恩返しできるように。」
ローラさんはたじろいだ。
そして前にかがんで、顔に手を当てて泣き出した。
「ぁぁ…そんなの…無理だよ…!!
私でも、必死に努力して…30なのに…、
目安はそれぐらいだって…キャロスさんが言ってて、
それでもチャンス…なんて…」
そんなに難しいんだ、チャンスだけなんだ。
でも…。
「私…両親すら説得…できない…
魔女なんてっ…!」
ローラさん…。
「ローラさん、もしよければ朝の話を今、教えて。
それが打開のカギに…なるかも…しれないの…!」
私も胸が苦しくなり平静で話したつもりが涙が出ていた。
「朝…、ギルド内で…ダンジョンを偽装受注…できるかもしれない
って話…。」
偽、偽装受注?!!!




