さらにQTE
すると、二人が防魔法室にやってきてくれた。
「起きたのかい?おはよう!」
「そりゃーつかれるぜ!聞いたぞ!キャロスさんのドジ!
広告を凄い金額で頼んだんだろ?」
何の事?
「いろんなところに広告があって来てみたらあの様子だったから
少しの間は住み込みならお金には困らないと思ってさ!」
心臓がバクバクする。苦しい…。
住み込みの作業はピッタリだね…。
「おはよう…ございます。そこの扉閉めてもらえますか?」
だめだ。すぐ打ち明けないと。
そこにローラが現れた。
「ちょっとちょっと」
うわああああー!きた!!!
体が縮み上がる。
「しめてーーー!!」
バルドさんが扉を強く締めてくれた。
困惑するバルドさんとレイさん、そしてノックの音。
どうすればいいの…?
だめ、下手したら…でも何とかしないと!
ダメだうまく言葉が考えられない!
フラリスフラリス、会話できない!外にいる!
そうだ!これしかない!
震える足で立ち、大声でお願いをした。
心臓が冷える。
「ローラさん!そ!こ!に!い!る!フ!ラ!リ!ス!
っ!て!精!霊!と!対!話!し!て!」
余りの大声にこちらを驚いて見るレンさんとバルドさん。
扉の先は意図を察したのか沈黙した。
「お、おい…君は…何をしてるんだい…?」
「精霊とって変だぜ!口で話せば…」
その後お互い言葉に詰まってしまった。
静寂の空間。
私はその後急いで入り口から離れ、頭を抱えていた。
怖い怖い怖い!
私なんでこんなに急に死ぬかもしれないの…!
暫くすると、ノック。
「賢い契約!お得な特典!がキーワードよね?」
つ、通じたんだ。
間違いなくフラリスさんからの伝言だった。
私は一安心した。
「と、扉を開放して、中へどうぞ。 事情を…」
「私から後であなたのいないときに話すわ。そのほうが安心でしょ?
そのほうがいいって相棒も言ってたわよ?
一刻も早く、外に出て!
暫く相棒さんから話を聞いておくわ。」
そうかもしれない、防魔法室に長く閉じこもるより私のいないところで…
さらに声が続く。
「レンたちも何も不用意に言わないこと!
あの怯えよう見たでしょ?」
…安心して立てなくなってる…!
「あの、ごめんなさい。立てなくって…」
「よくわかんないけど、君が望むなら運ぶよ」
私はレンさんに抱えられて、急ぎ外に出た。
「まったく、恥ずかしいからって変なところ逃げ込むなよ。朝食食べるぞ!」
レンさんがフォローしてくれた。
私は焦りが確かに先行していたのもあり、凄く恥ずかしくなった。
「全く、俺たちが急に来たからって喜びすぎで照れるぜ!」
二人とも真剣な顔だ。
レンさんが私を食卓の椅子に座らせて
見せるようににっこりと笑う。
「勇者はね」
何かかっこつけて言おうとする。
「乙女の」
「馬鹿野郎!」
バルドドルドが突然レンをたたいた。
何だろう?
「全くドジだよな、口説く年齢じゃねーのに!」
レンさんは何かに気づいた後、テーブルに手をついて
しまったという表情で涙ぐんでいた。
私は気が付いた。
多分レンさんは”勇者はね、乙女のピンチを守る者だ!”
などと言おうとしたのだろう、
何かピンチがあったと思われるよ!
そうしているうちに、キャロスさんがやってきた。
「おはよう日葵。」
なんて安心感!神様…




