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<動揺>
「やった!頑張ります!」
「気はまぎれたみたいだな。良かった。」
その声を聴いて、魔女は迷い始めた。
腕を組み、瞼をそこに乗せる。
思わず優しい目線になってしまいそうだったからだ。
彼女は目的より小さい存在なのか。
そもそも収穫して、如何にかなるものなのか。
顔を上げた魔女は、鋭いまなざしだった。
分からない、でも託された。
「私はそれをするだけ。
ただ少し、人を信用できなかっただけなの。
何も考えなくていいわ…」
過去の
ちょっとした誤魔化しを、
これほど後悔したことはなかった。




