幹は伸びる
朝起きる、私は背伸びし今度こそダンジョンの本を読もうと決意する。
線を描く日差しを背に部屋を出ると、
キャロスさんが私を見つけ声をかけてきた。
「今日だがな、カウンターをやってくれないか。
二人並んで、冒険者の受付をするぞ。」
新しい仕事だ!ギルドの役に立つぞ!
「やった!頑張ります!」
嬉しそうに手を伸ばし、体を僅かに左右に振って楽しみにしている。
キャロスは安心した。
「気はまぎれたみたいだな。良かった。」
「うん、リーファさん・友達にもあの冒険の事沢山話すんだ!
キャロスさんの魔術師の話も聞いてみたいな。」
屈託のない笑顔が見える。
キャロスさんが苦笑いしている、
草取りは冒険ではない!そう言いたげだった。
廊下を歩き下に向かう日葵を立ち止まって眺める。
キャロスは、日葵の様子を見てどことなく娘のように感じ始めていた。
そして一人、キャロスは決意した。
ギルドを成長させる。
いつまでも過去にとらわれず、再びあの規模まで
いやそれを超えて成長させるんだ。
信用できる従業員を増やして、ダンジョンの最寄りである
この立地の本来の利点を生かしてこの地域全体に活気を取り戻さないとな。
資金や影響力があれば、日葵を救うだけじゃなく
このギルドに勤めていた人の弔いにもなるだろう。
リーファ、俺はやるぞ。




