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一瓜二兎
そう、”草むらスイカ”だ。
この畑は草を取っていなかったがそれゆえにこの世界特有の
”草むらスイカ”が生えていたようだった。
彼女はそのスイカに魔法をかけて一つ割り、空中に浮かべる。
そのスイカはオレンジ色の液体を晒し、
砂糖の香りに向かって草むらのざわつきが動いていくのが見えた。
呼吸を止めてタイミングをうかがい、真下に来たついにその時!
「今よ!」
その瞬間レンは剣を抜き、空を突き刺した。
「よく思いついたな!」
そこにはスイカを狙ったハチュッシャが貫かれていた。
バルドドルドも鉄のこん棒をたたきつけて同じタイミングで撃退したようだ。
「やったぜ!」
ホテルの時も思ったが、このパーティは息がとても合っている。
「すごいです。言葉が出てきません…。」
日葵は感心、というか唐突すぎて圧倒されていた。
レンは何かをローラと相談した後、
きっと喜ばれるだろうという期待を胸に戦利品を携えていった。
じきに勇者は舞い戻ることだろう。
この、広大な草むらに…




