炎舞導光 - 大陸を照らす火の軌跡
30分後
草取りをしていると、ローラさんに声を掛けられた。
「アレ、あなたの魔法…よね。」
土の香りをかぎながら、
日葵は少し草を取るのをやめて逡巡する。
だがその瞬間、監視されているって自覚してよ
という過去のフラリスさんの話を思い出しだした。
だから、こう答える。
「わからないです。さっきの冷気だけで息が苦しくて……
だから、私以外の誰かがきっと…」
ローラさんがふと私に問いかける。
「ねえ、あなたご両親とは話してる?」
お母さん、お父さん…
「いえ、両親とも事情あって離れ離れで
暫くは会えないんです。」
ローラさんは悲しそうな目で草を見ていた。
「そう、私もそうなの。親とケンカしちゃってね。
家出みたいになっちゃったんだ。
私の夢を認めてくれなかったから。」
「夢…ですか?」
「冒険者になって、ダンジョン探索もして、
新しくギルドを建てて、国全体に貢献をしていきたいの。
でもろくなことにならないし、どんな目で見られるか…ってね。」
視線を引き戻せば、バルドさんが黙々と奥地を開拓している。
大陸横断の準備はもうすぐ終わるはずだ。
レンさんは草を束ねては運び、場を整えている。
きっと本物のダンジョンでも、同じ光景が繰り返されるのだろう。
虫の羽音が重く、額の汗を拭う。
蜂さんが来たときは思わず身を屈めてしまう。
そんな私を見て、ローラさんが杖を持ち、祈りを捧げ始めた。
(誘導フレアをお願い。ありがとね。)
風が停止し、それから、ぼっ…ぼっ…ぼっ 徐々に小さなフレアが複数発生する。
ふわりと光が動き出し周りの蚊を打倒し蜂を追い払っている。
ローラさんが凄く集中した顔で手の指を操作しており、
追い払った先は花畑になっていて、容赦なさと優しさを同時に感じた。
バルドはレンに水を要求し、レンは宝珠を使い空中から水を抽出する。
バルドはそれで水を飲み、水浴びもしていた。
「誘導フレアよ。火や風の精霊との取り決めで誘導するの。
そして、その炎弾の軌跡は私の脳内にイメージとして残る。
本来は探索技能でもあるのよ。
この技術、すごく訓練したんだから!」
へぇ、すごい。この草取りってダンジョンだったのかな。
「小型生物の除去は、ダンジョン対策での必須事項よ。
いろんな術を使って対策をしないとね。
アリみたいな魔物に群がられたらバルドでも死んじゃうからね。」
ダンジョンの話を草取りで聞けるなんて!
私、ダンジョンにいるみたいです。
この畑というダンジョンは、徐々にその本来の姿をさらけ出していった…。




