氷熱の饗宴
周囲に一瞬だけ冷気が舞い降りた。
レンさんがこちらを見て、目に希望が灯る。
何かを思いついたかのように
その手の宝珠を使い、無言で冷たい空気から水を作る。
冷たい水は宿屋で見た通り光を纏う線となり宙に浮かんでいる。
一つを飲み干すと、乾いた目に色が戻った。
「くぅーーーー冷たい!うまいよなあ冷たい水!
最高だ!バルドも…ローラも飲め!」
レンは近づき、仲間の前で宝珠を振りながら2人に水を生成する。
空中に浮いたその水は、きれいだった。
なんで空中に浮いてるんだろう…。容器に入ってるみたいに見えた。
バルドドルドはその光の柱に食いつき、吸い上げた。
「あー、うめぇ。灰になるところだったぜ…。
おめえも魔法使いか。というかそれすげえ
きれいな刃だな…」
ローラさんは一瞬こちらを見てためらった。
だが、水を飲み始めた。
「これ、日葵ちゃん。
日葵ちゃん忘れてるじゃない。
これだから、レンはドジなのよ。」
半分ほどを手で遮り、そのお水を私にくれた。
「冷たくておいしい!ほんとだ!」
レンがローラに声をかける。
「なあ、もうちょっと涼しくできないのか?ローラ?
重力操作はいらないからさ。」
ローラは目を瞑り、考えているようだった。




