”草取り”開始 熱い決意と暑い太陽
「これは思ったより広いな…まあ、そうじゃないと200クランもしないか…」
レンさんはそう話し、肩をすくめた。
そこには建物何個分にもなる広さの"元"畑があり、草が生い茂っていた。
「これを午後だけで終わらせろって?やってやるぜ!」
バルドさんは高難易度の依頼に燃えていた。
「みんな…ごめんね!私も頑張るから…。
杖を使った冷気補助と精霊を使った重力補助をするわ。」
ローラさんは杖を持ち祈る。
その瞬間、私の体は浮き上がってしまった。
「わわ、うわわわ!」
私は浮き上がり始めた体を抑えようとあがく。
即座にバルドさんは私を掴んでくれた。
ローラさんは慌てて、私への魔法の強度を落としたようだった。
「ごめんね、重力の精霊に頼んで軽くしてもらうつもりで…
貴女は予想より軽すぎちゃったみたい。
普段こんなことないんだけど…。」
さっきの魔法はこれだったんだ!
「今、確かに体が軽いです。
すぐに草取りをやりましょう!」
バルドさんはその瞬間草取りを始めた。
彼は大き目の草からずんずん抜いていく。
ローラさんは重力や冷気での補助の姿勢を崩さない。
彼ら二人の能力をよほど信頼しているのだろう。
私も微力ながら、草を取り力を貸していた。
それにしても、
まるで暖炉の前にいるみたい…。
最初は破竹の勢いだったバルドさんも
だんだんと動きが鈍くなる。
水を撒いたりして誤魔化して動いていたレンさんも
だんだんと限界に近づいているように見えた。
ローラさんは動く様子がない、
迂闊に動いたら魔法が失敗してしまうのかもしれない。
その補助が無かったら、きっと私はすでに休憩している。
この草取りは
全員の想像を軽く超えるほどの
高難易度依頼だった。
そして元畑は牙を向く…。
草取りは、不安という名の雑草を抜き去るものなのか。
不安の雑草こそが、私に草取りを強いているのか。
そして、本当に草取りでその不安は取り除けるのだろうか。




