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レベルアップが命取り?建内 日葵と不思議な服  作者: 和琴
——こうして、私は”草取り”を始めた ーーーって何この展開!
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”草取り”- The Destiny

知らない街。知らない人々。

そして、脱げない服──魔女が私に着せた、幸福と呪い。


私は建内日葵たてうち ひまり

この街のギルドで、食事と仕事をもらいながら生きている。

魔女の目を欺くために。

いつか“収穫”されるその日を避けるためにも。


ギルドの管理人、キャロス・ノードさんは元国定魔術師。

私が監視されていることに気づき、助けてくれた。

彼の妻、リーファさんもまた、過去に家族を失いながらこの場所を守っている。

二人の優しさは、私の逃げ場になった。


鍛冶屋のルーニーさんは、私を応援してくれる。

死ぬまでには絶対に恩を返したい。


ホテルのおばあさんは、がめついけど優しい。

この街の裏表を知る人で、私にとっては“生き延びる知恵”をくれた大切な人。


でも、夜になると不安が広がる。

魔女の目的は何なのか。

この街の治安も、すべてが私を試してくる。

不安の草が私を枯らそうとしてくるの。


それでも私は、今日もギルドで働く。

誰かの役に立てるように。

そして、この服を脱げる日が来ることを信じて。


「仕事ですか…?あ…すいません、先ほど話されていたのはどんな希望でしたか?」

私の視線が泳ぐ、別の考え事が止まらない。


聞き逃しはひたすらに謝罪を生み出す。

宅配の仕事が増えたため、質問も多いが上手く答えられた自信がない。

謝罪の連鎖が終わりを見せず、悪循環は深まっていった。


ここ数日恐怖体験ばかり。

そう思っていると昨日の冒険者の声が聞こえてきた。

確か…バルドさんたちのパーティの男だ。

なんで一人なんだろう…。

「あの、一緒に仕事しませんか?

 …一人だけだから信用できない?」

震える声に思わずそちらを向くと、

青い服の青年が焦った声で男の人を説得していた。


「仲間は宿にいます!

 午前のこのモンスター退治と、午後の草取りがしたいんです。

 …できれば、午後だけでも!」

男は首を振り、拒否したようだった。


キャロスさんは私の異変に気が付いていたようで

声をかけてくれた。

「おい、あれに午後から行ってこい。

 気分転換になるだろうさ。」

私の頭を撫でてくれる。

草取り、無心でやるのもいいかな…。


「こんだけギルドが狙われてりゃ怖いもんな。

 あいつらは強いから、安心しろ。」


モンスター退治だと足手まといになっちゃいそうだしね。

困ったように依頼を探している彼を

助けたい気持ちを堪えて、午前の勤務を務めた。


そして午前の仕事終わりの少し前にようやく声をかけた。

「あの、どうされたんですか?

 宅配など仕事は…。」


そうすると、金髪の男は椅子に座ってうつむいて話す。

「…いや、宅配の仕事もちょっと都合が悪いみたいで。

 PTで一緒にできる、できれば個人依頼の仕事が欲しくてさ。

 困ってたんだよ。ここの依頼なら問題ないと思ってたから…。」


その変わった条件にただならぬ事情を感じたと同時に

共感してしまった。


「あの、4人必要な午後からの草取り

 私、行きましょうか!」


男は顔を上げる。


「…ホント!助かるよ。

 俺はレン・オーブライト!

 宿で皿洗いと掃除をさせてもらって仲間が待ってるから

 一緒に午後から郊外の草取りに向かおう!

 …仕事は大丈夫かい?」

皿洗いと掃除?


「ええ、私も訳ありで、気分転換が必要なんです。」

レンさんはその返答にこちらを見て、手を差し出し微笑んだ。


「おう、日葵をよろしく頼むなレン。」

キャロスさんとレンさんは知り合いだったので事情を加味してもらい

許可を経て、依頼受領書をもって宿屋に向かった…。

新章開始、運命は草取る…


初の4人行動…!

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