偽装成功…間一髪
私の心臓がその声で縮み上がった。
背中を寒気が撫でて、私の体が震える。
そんな私を見てキャロスさんが声をかけてきた。
「何だ、急に怖くなったか?」
私はかろうじて言葉を絞りだす。
「レ、レベル測定器…使います。」
キャロスは状況を理解したようだったが
「おう、行ってこい!」
としか言わなかった。
防魔法室でのレベル測定と思われてない…?
私は操られるように、食卓から二階に向かった。
いつもはただ歩くだけの階段を踏み外しそうで
時々立ち止まる。
窓から日差しがさしているのに私は震えながら倉庫に行き、
測定器に手を置く。
レベルは2だった、半分のレベルで表示されたんだ。
「…1、上がりました。」
私は震えを声に出して魔女に話しかける。
死に近づきましたって報告するのは初めての経験だった。
もう二度としたくない。
<一安心ね、もし上がってなかったら帰還しての
"再調整"が必要なところだったわ>
私は震えあがった。
「上がらな過ぎてもダメなんですか…!」
押えないといけないはずの声があふれ出る。
足がすくみ、胸がバクバクする。
涙まであふれ出てきてパニックになり始めた。
死ぬ…死ぬ…!
「わ、わたし、しぬ…?」
息を吸い、思わず質問する。
その返答は帰って来なかった。
その静寂の後、私は床に手をつき
しばらく動けなかった。
食卓に戻るも、パンも残してしまい動揺しながら
残っているハーブティを飲み干した。
私の心は癒されず、板挟みの絶望感でつぶれかけていた。




