刃と盾 -時々悪意
防魔法室内で起き、寝てしまったことに気が付いた。
魔女に怪しまれるかと思い、すぐ外に出ると通路の窓から
明かりがさしているのが見えた、朝だ!
私は急いで下に向かい、様子を確認する。
すると朝ごはんの時間でリーファさんがパンを用意してくれていた。
「おはよう、日葵ちゃん
あんなところで寝ちゃってて、体痛くないの。
部屋見てもいなくって、探したのよ?」
み、見られちゃってた。
「確かに寝心地はよくないですが、大丈夫です!
お手洗いに行ってきます!」
私はトイレを済ませて、朝食を食べる。
その時キャロスさんが食卓にいないことに気が付き、声をかけた。
「あの、リーファさん。キャロスさんは…」
リーファさんは微笑みながら私に説明してくれる。
「いま、昨日騒いでた冒険者を見に行ってるところなの。
あの人なら心配いらないわ。
むしろ、行くだけ邪魔よ!」
その瞬間、少し嫌な予感がした。
本当に大丈夫なのだろうか。
私は胸に手を当てたり、テーブルをなぞったり
気を紛らわすことに必死だった。
その様子を見たのかリーファさんが地下室から取り出した薬草をお湯に入れて
ハーブティーを作ってくれた。
爽やかな香りと、温かい蒸気を感じながら少しずつ飲んでいると
無事にキャロスさんが戻ってきて私は席を立って迎えた。
「おはようございます!」
「おう、おはよう。
昨日は眠くてすまなかったな。
いや今日か…。」
そういいながら頭をかくキャロスさんに私はお礼を言った。
「ありがとうございます。
どうなったんですか?」
「いやそれがな、お前を狙った犯行だったらしくて
今朝はノックして来ていて、取り押さえたんだが刃物を構えてた。
若すぎる女が俺の通うギルドで働いているのが嫌だったそうだ。」
え、あの騒ぎでもし声でもかけてたら
どうなってたんだろ…。
「なんて自分勝手な犯人…それとも私、何かやったのかな。」
それを聞いたキャロスさんは即座に首を振って両手を広げる。
「気にするな、俺も分からん。」
その後頭に手を当てて
「それより、お前に呼ばれたのに起きれなくて…
起きるべきだった、すまん。」
私は首を横に振る。
「いえ、キャロスさんが無事でよかったです。
私も寝れましたし、結局悪いのは相手ですから」
3人で朝食を食べて今日もギルドでの1日が動き出す…。
そう思ったその瞬間だった。
あの声とは別の不快な魔女の声が私の頭に響いた。
<レベルは上がった?>




