<波動>-先触れ
活気があるギルドの内部、その扉が開き
3人組のこのギルドにしてはしっかりとした装備に見えるPTが来た。
こん棒の金属音や、剣・腕輪・杖が目立っていた。
「あちゃー、人多いな。今日の仕事は少ないかもしれない。」
「何かあるはずよ、聞いてみましょう」
「…大丈夫なのかよ」
あの人たちに仕事を説明しに行く…
<この波動は!>
私を監視する声が突然響いた。
鳥肌が立ち、視界がぐらつく。
足がふらついて、PTの青い服の男の人にぶつかってしまった。
動揺し、うまく立ち上がれない私に
<人物感知だけでもわかるわ、水の宝珠…それに…>
と更なる声が聞こえた。
その声はわずかだが人間的な温かみを帯びており、気持ちが悪い。
私が戸惑っていると、
腕に青色の宝石の付いたリングをして、
青い服の金髪で爽やかな青年が声をかけてきた。
「ごめんね、バルドに気を取られて前をよく見ていなかったよ。大丈夫?」
私はPTの女性の人に肩を支えてもらい立ち上がる。
「大丈夫?仲間がドジで迷惑かけちゃったね。」
「あ、ありがとうございます。」
バルドと呼ばれた男性は笑いながら青年の方をこづいた。
「お前、ナンパのためにワザとぶつかったのか。趣味悪いぜ?」
手を左右に振り、呆れたように話す青年。
「そんなわけないだろ、俺がそういう性格に見えるか?」
私はさっき聞こえた声の内容を思い出す。
「あ、あの、仕事をお探しでしょうか。
今日は配達などはありますがせっかくタッグなので
こちらの家具運搬をしてみるといいかも…」
自信ありげに腕の筋肉を盛り上げる。
「しょうがねーか。今日も付き合ってやるよ。家具でも配達でも
何でもやるぜ!」
何か申し訳なさそうな女性。
「ごめんね皆、何か考えるから…」
自分を親指で指しながら青年は軽やかに言い放つ。
「問題ないよ、君みたいに困ってる人は放置できないんだ。
そんな自分のためでもあるからね。」
冒険者さんには真面目な人たちも沢山いる。
それとともに、そんな人たちにも悩みに共感した。
また、冒険者さんの中には朝早くにきて森に素材採取に行ったり
ダンジョン密集地帯の警備に行った人がいた。
この町の近くにある、ダンジョンが密集した地帯だ。
少し遠くの地方がどこも厄介な土地柄らしく、そのために
古代人がここを拠点にしていたと推測されていて
戦いも行う実践的な依頼と聞いていた。
「もうすぐ隣町のギルドに行くだろうな。
そうしたら縁の下ギルドは卒業だ。
ここの財力じゃ、ダンジョン依頼は受けれないからな…」
そうなんだ、縁の下ギルドでダンジョンを探索の依頼出すならお金がいるんだ。
キャロスさんは少し寂しそうにしている気がして目をそらした。




