雑草が生える
「ギルドの接客役だからな、
猛暑期だし髪は洗わないと印象悪くなるから。
習慣のない地域もいまだにあるが、
髪を洗ってほしい。」
そう話すキャロスさんが片手で水をチャージしている。
私はその様子を見て心配にある。
「あの、水を作るのに体力がいるんですよね。」
「そうだ、でも俺はレベルが高いからな。
このぐらいは魔術の訓練だと思ってやり過ごせる。」
すごい人なんだな
私は、木で作ったブラシで歯も清潔にして、
そのあと寝室に戻って体を拭いた。
月明かりを見て、少し癒された気分になる。
ギルドの従業員って、お給料は安いけど
一緒にご飯も食べれるし、いろんな仕事にも触れられて
いい仕事だな。
私は体を横にする。
眠りにつこうとした瞬間、フラリスさんが声をかけてきた。
(カーテンを閉めて!)
私はその緊迫した声に息をのみ、
この部屋の大きな明かりの元であった月光を遮る。
目を閉じて丁寧に確認を行う。
「カーテンを閉めたよ。これでいいんだよね。」
「うん、大丈夫。男が少し遠くで不自然に弓を準備してたから
もしかしたらと思って。気づかれないうちに横になろう。」
こっそりカーテンの隙間から覗いてみる。
ひえ…!
ギルドを見あげて睨む男が弓を持っている。
フラリスさんの忠告がなかったら…。
「キャロスさんを起こそうかな…でも」
起こした瞬間に頭に矢が…なんて想像をしてしまった。
ダメ…私、動けない。
このまま起きていても、下手したら窓から狙われてしまうかも。
胸に手を当てて心を落ち着かせて…。
そうだ、フラリスさんはヒントをくれたんだからお礼をしよう。
体力と精神を捧げることで逃げるように眠りについた。
一方、キャロスもこの事態には気づいていたが、
様子を見ることにした。
キン!と何度か音がする。
彼の部屋付近の壁に矢が刺さった音だ。
魔法を構えるも、男は去っていた。
違和感はあったが、探知しても熱は感じず
魔法の気配もなかったのでキャロスも眠りにつくことにした。




