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レベルアップが命取り?建内 日葵と不思議な服  作者: 和琴
運命の場所で私は"草取り”の瞬間を待つ
32/161

最新式

トイレを前に、日葵は思い出す…

私はお手洗いに入る。

毎日掃除するからきれいなトイレだ。


トイレについて、昨日の昼休憩にキャロスさんのいろんな話を聞くことができた

猛暑期の空気が当たる中、それでもひどい匂いはしなかった。

-

そのこだわりをキャロスさんが嬉しそうにして話す。

「このトイレは魔具を使ってカスタマイズしてあるんだ。

 この上だ。水を生成する魔具を使って、汚物を流せるようにしているんだ。

 気になればここで手を洗うこともできるぞ。」


見ると、水の大きなバケツみたいなものから確かに水の気配がする。

床のくぼんだつるつるしたところに穴がある。

万が一汚物が付いても水とモップで流せるのだろう。

脇には紙が置いてあった。

「モップと水で流した汚物はこれまた魔具で密閉して、近くの土魔術の研究所に運ばれていく。

 負担だから日葵はしなくてもいいが、手をかざして魔具を起動し

 水をチャージしているからもし無ければ呼んでくれ。」

少し遠くにあるモップを指さした。


私は研究に興味があった、何に使うのか想像できなかったからだ。

「はい!その土魔術の研究所?ではどんな研究をするんですか?」

「肥料・軍事・地ならし用の土あたりへの転用のようだ。あまり考えたくはないがな…」

そうなんだ!これが地面になるんだ!


そういえば、このトイレ広い…。


このギルドの設備、人数にしてはやけにしっかりしてるような…

寝室が6人分あるよね。

「なんでトイレが広いんですか?」


キャロスさんが肩を震わせた。

私にはそれが不思議だった。


「昔は通うものも含めて10人ほど数が居たんだ。

 複数人用だった。

 だが、ギルドが2人経営になってから

 不便だったんで一番手前を最新式に改修したんだ。」


気温は高いが、空気感は一気に冷えた。

石の香りと日差し、その中で沈黙が走る。

キャロスさんは何かを思い浮かべているようだった。


「仮拠点を作ってまでギルドがダンジョン

 探索していたとき、ギルドが襲撃を受けたんだ。」


え、襲撃…!


「従業員が欲からバカやらかしてな。

 リーファの家族が現地で指揮してたんだが…皆殺しだった。」


私は戦慄する。

「そ、そんな…じゃあ」


キャロスは歯を食いしばりその事件を語る。

「ああ、奴はどうやって知ったのか直にギルドまで来てな。」


「え、仮拠点から…?」

なんて執念…!


「ギルドで話していたから、リーファは俺が守った。

 相手はとんでもない強さだったが、

 リーファも俺がいるから逃げなかったんだ。」

深呼吸して続きを話す。

見ていられず、思わず壁を見つめた。

緊迫感と暑さでを汗をかく。


「その様子を見た奴が、

 ”お前らだけは生かしてやる価値がある”

 といった。」


その時、キャロスさんはどんな気持ちだったんだろう。


「そして、義に反しない人間しか

 雇うなという誓いをさせられたんだ。」


キャロスさんが胸に手を当てて目を閉じる。

私は胸まで両手をあげて、心臓を抑えた。


「”贖罪の誓い”を。

 だからギルド長になったんだ…」


だから、ギルドが2人だったんだ。

私、ここに頼るしかないのに大丈夫なのかな。


キャロスさんは重い話を区切り、笑顔を浮かべた。

「大丈夫。お前は真面目だって聞いてるし

 それは話してても分かった。

 お前は信用できる。諦神が来ても紹介してやれる…。」


諦神(ていしん)”…神のような襲撃者。

その名前を私は心に刻んだ。

-

しまった。思いにふけりすぎたな…。

そうして私は目的を済ませ、食卓で食事を始めた。

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