芽生え
ここは、ジャカ大陸の南部 カロル国の西部ペンダ市
ダンジョンベルトの火山に近いこの都市で
一人の少女が両親とともに暮らしていたが、
ある時呪いにかかりレベルが1となってしまう。
両親は魔女を頼り、娘は回復するが…
日葵は魔女の小屋で魔女の目を覚ます。
ここはどこ?いつものパジャマのようであるが
体にぴったりと馴染む不思議な服を着てベッドに横になっていた。
とんがり帽子を深くかぶり、美しい肌を纏った女性がそこに座って
その黒色の瞳で私を見ていた。
窓からは、朝日が差し込んで鳥の声が聞こえてくる。
森の中にある、木でできた暖かで素朴な家だった。
「ここは…どこ?あなたは?」
「貴女に教える必要はない。」
魔女はその場の空気とは異なり、心まで黒かった。
一方的に日葵に要求を突きつける。
「聞いて。貴女は成長しなければならない。」
私は唐突なその言葉に驚く。
「どういうことですか…?」
私を無視し、魔女は淡々と服の機能を説明する。
「貴女の弱弱しい体を、服が補助しているの。
貴女の着ている服は体を様々な面で補助する。
貴女の気持ちに応じて変化する、生活上の不便はないわ。」
私は驚く、そんな服があったんだ…!
でもこのお姉さんは誰?
「貴女の魔力波長と合わせた服で
外せない様にしてあるの。」
私は自分の服を見ると、虹色に輝いていた。
自分で触ろうとしても服をすり抜けて素肌に触れてしまうが、シーツは
服越しに触っている感覚がある。
「な、ナニコレ…!どうなってるの…」
魔女は意に介さず一方的に話し続ける。
空間は制止し、二人の声と鳥の声だけが響いていた。
「両親のもとに帰しても成長しないでしょう。
旅立ちの時間よ。
ガーネス町の郊外に貴女を送る、少しの間自力で生きることね。」
私は魔女から説明を受け、狼狽した。
「そんな、無理です急に!あの、…私は…」
私は言葉に詰まってしまいもう一度考えるも結論は同じだった。
「無理だ…私、どうやったら生き延びられるんだろう。」
魔女はため息をつく。
生暖かい息を受けて、日葵は体が震える。
魔女は荒っぽい声で答える。
「無理?私は、貴女みたいに甘えた人間が大嫌い。やってから言いなさい。
少しの間だけ、貴女には相応しくない日常生活をさせてやるのだから
むしろ感謝してほしいぐらい。」
私の心に言葉が突き刺さり、心が縮こまっていく。
「貴女がレベルアップするたびに、服は祝福の力を蓄積し
程度のレベルに到達すればその時、私は命ごと収穫するつもりよ。」
私はその言葉を聞いて息をのんだ。
「収穫って…まさか!」
私は体が震えるのを感じた。
魔女さんは私を殺そうとしているんだ。
「そんな!なんで? 私は何もしてないのに!」
涙がほほを伝うのを感じ、顔を隠して泣き崩れる。
「誰か助けてよ…」
魔女さんが祈り、何かを囁くと
私の頭の中がグルグルして、視界は真っ白になった。
気が向いたら投稿します。